根白坂の戦い

根白坂の戦い

根白坂の戦い（ねじろざかのたたかい）は、1587年4月17日に日向国根白坂で行われた、豊臣秀吉軍と島津義久軍との戦いです。この戦闘は、秀吉による九州制圧を目指した歴史的な戦いの一環であり、戦後の日本の政治情勢にも大きな影響を与えました。

経緯

戦闘の背景には、九州統一を図る島津義久の動きがあります。1586年の戸次川の戦いでは、義久が豊臣・大友連合軍を打ち破り、豊後の西部と中央部を占領しました。しかし、この勝利を受けて、豊臣秀吉は九州征伐の動員令を発し、各地の諸大名に軍を編成させます。これにより豊臣軍は一大勢力を形成し、義久は戦線の縮小を図ることになります。義久の弟、島津家久は府内を放棄し、後方への撤退を余儀なくされました。

一方、豊臣側は秀長の軍が豊前に到着することで勢いを増し、士気が高まります。これに対抗して、島津義久は日向の高城を包囲する秀長軍への決戦を決意しました。結果、4月17日夜半、根白坂を急襲し、高城を救援しようとしました。この根白坂は、重要な通路であり、秀長軍はあらかじめこれを要塞化して防備を固めていました。

戦闘経過

両軍の兵力は異なる見解がありますが、豊臣軍が約8万人、島津軍が約3万5千人だったとされています。戦闘は、根白坂の砦で守備していた宮部継潤を中心とする1万の軍勢が頑強に守りを固めたため、膠着状態に陥ります。しかし、秀長軍が救援に向かうものの、戦況を見た軍監の尾藤知宣は救援を中止すべきと進言し、秀長は指示に従いました。

その後、藤堂高虎と宇喜多秀家の手勢が宮部のもとへ加勢し、島津军は挟み撃ちにされます。島津軍は、主力が殆ど討死し、完敗しました。秀長は追撃を試みたものの、尾藤の意見から追撃は中止されました。この戦いは、秀吉の命令を違反して戦闘に臨んだ仙石秀久の失態を挽回し、豊臣軍による九州平定を確実なものとしました。

戦後

戦後、尾藤は秀吉に非難され、所領を没収され流浪の身となりました。一方、義久と義弘は都於郡城に撤退し、さらに各地の島津勢力も豊臣側に降伏します。根白坂の戦いから間もなく、豊臣軍は島津の本拠地である薩摩へ侵攻し始め、義久は5月8日に豊臣に降伏しました。その後、両国の治世を譲り受けた義久と義弘は、豊臣政権の下で二頭政治を行うことになります。

この戦いを通じて、島津家は豊臣政権及び後の江戸幕府の下でその領土を維持し続け、明治時代まで続くこととなります。根白坂の戦いは、戦国時代の歴史の中でも重要な転機となった出来事であり、豊臣の力が九州全域へと広がる契機となりました。

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