桂三木助 (2代目)

2代目桂三木助：大阪落語界の巨匠とその生涯

2代目桂三木助（1884年11月27日 - 1943年12月1日）は、大阪を拠点に活躍した実力派の落語家です。本名、松尾福松。その生涯は、激動の時代を生き抜いた落語家としての魅力と、芸への飽くなき探求心を感じさせるものです。

大阪で生まれた三木助は、10歳の時、2代目桂南光に入門。桂手遊という芸名で初舞台を踏み、その後日露戦争に従軍。戦後は「滑稽ホリョー踊り」という演目で高座に復帰し、1906年、2代目桂三木助を襲名しました。

順風満帆に見えた彼のキャリアですが、賭博による借金問題で所属していた桂派を離れ、互楽派を経て、さらに上京。4代目橘家圓喬に師事し、橘家三木助として東京で研鑽を積みました。東京時代は人情噺に傾倒し、独自の芸風を確立していったのです。

1916年、大阪へ戻った三木助は、三友派に加わり、後に吉本興業の大看板として活躍します。彼の持ちネタは非常に豊富で、神戸湊川の寄席で3年間真打を務めた際には、一度も演目を繰り返さなかったという逸話が残っています。

東京で培った人情噺への造詣を深め、帰阪後も『立ち切れ線香』『菊江仏壇』『ざこ八』『箒屋娘』『抜け雀』など、東京風の演出を採り入れた素噺を得意としました。上方落語の伝統を踏まえつつも、東京弁が混じるなど、上方情緒とは異なる独自のスタイルは賛否両論を巻き起こしましたが、3代目三遊亭圓馬と並び称されるほどの力量を持つ名人として、上方落語界を支え続けました。

晩年は耳の病に苦しみましたが、落語家としての道を全うしました。その芸風は、持ちネタの豊富さと、東京と大阪の落語の両方を熟知した上で生み出された、独特の味わいを持っていました。彼の芸は、多くの弟子や後進の落語家たちに大きな影響を与え、現在まで語り継がれているのです。

弟子には、3代目桂三木助、桂小半、9代目桂文治、桂三木丸らがおり、8代目林家正蔵（林家彦六）も大阪を訪れた際に三木助から指導を受けています。

彼の芸はSPレコードにも残されており、『丁稚芝居』『三年酒』『宿屋仇』『動物園』『鮑のし』『みかん売り』『お伊勢道中』『無筆な犬』など、多くの演目が後世に伝わっています。軍服姿や着物姿の写真も残されており、その生涯を垣間見ることができます。

2代目桂三木助は、時代の変化の中、自身の芸を磨き続け、大阪落語界に大きな足跡を残した、まさに巨匠と言える存在でした。彼の芸は、これからも多くの人の心に響き続けることでしょう。

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