桂枝加苓朮附湯

桂枝加苓朮附湯（けいしかりょうじゅつぶとう）は、江戸時代の医学者である吉益東洞（よしますとうどう）が確立した家方に記述が見られる漢方薬の一つです。この処方は、体を内側から温めることで、冷えと痛みを和らげる効果があります。特に、体内の水分代謝が滞ることによって生じる痛みに有効とされています。

構成

桂枝加苓朮附湯は、基本となる桂枝湯（けいしとう）に、蒼朮（そうじゅつ）、附子（ぶし）、茯苓（ぶくりょう）という3つの生薬を加えて構成されています。

桂枝湯：桂枝（けいし）、芍薬（しゃくやく）、大棗（たいそう）、甘草（かんぞう）、生姜（しょうきょう）の5つの生薬からなり、体を温め、血行を促進する作用があります。
蒼朮：体内の余分な水分を取り除く作用があり、むくみや関節の痛みを和らげます。
附子：体を強力に温める作用があり、冷えによる痛みを緩和します。
茯苓：利尿作用があり、体内の水分バランスを整えます。

これらの生薬が相互に作用することで、桂枝加苓朮附湯は、冷え、痛み、水分停滞という3つの症状に効果を発揮します。

効果・効能

桂枝加苓朮附湯は、体力虚弱で、手足が冷えてこわばり、尿量が少ない、あるいは、動悸、めまい、筋肉のぴくつきなどの症状を伴う場合に適応されます。具体的には、以下の症状に効果・効能が期待できます。

関節痛
神経痛

これらの症状は、冷えや水分停滞によって悪化することが多いため、体を温め、水分代謝を促進する桂枝加苓朮附湯が有効です。

応用

桂枝加苓朮附湯は、神経痛や小児麻痺などに応用されることがあります。これらの疾患は、神経の炎症や血行不良が原因で起こることがあり、桂枝加苓朮附湯の温め効果や血行促進作用が症状の緩和に役立つと考えられます。

注意点

桂枝加苓朮附湯は、医療用医薬品と薬局などで購入できる一般用医薬品があります。服用に際しては、医師、薬剤師または登録販売者に相談し、用法・用量を守って正しく服用してください。

特に、高齢者や体の弱い人、妊婦または妊娠している可能性のある人、授乳中の人、他の薬を服用している人は、事前に医師または薬剤師に相談することが重要です。

副作用としては、発疹、発赤、かゆみ、吐き気、食欲不振などが報告されています。これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。

参考文献

難波恒雄『漢方薬入門』保育社、1985年。ISBN 4-586-52104-X。

関連項目

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