桂梅枝 (2代目)

2代目 桂 梅枝（にだいめ かつら ばいし、1853年 - 1902年10月10日）は、明治時代に活躍した上方落語家です。本名は山本久吉。50歳という若さでこの世を去りました。

大阪市北区安治川通りで下駄屋の息子として生まれた梅枝は、若い頃から素人落語連に参加し、その才能を開花させました。1879年には、2代目桂文枝（後の桂文左衛門）に師事し、桂文喬という名前で落語家としての第一歩を踏み出します。1885年には、2代目桂梅枝を襲名し、その名跡を継ぎました。

梅枝の芸風は正統派でありましたが、残念ながら人気は今ひとつでした。当時、初代桂文之助（後の2世曽呂利新左衛門）門下の浮世亭○○（川上音二郎）が自由民権運動の宣伝として寄席に出演し、自作の「オッペケペー節」が大人気となっていました。そこで梅枝は、妻でお囃子を担当していたお島の助言を受け、自らも「オッペケペー節」をアレンジして演じたところ、これが大当たり。「オッペケペーの梅枝」として知られるようになりました。

梅枝は後輩の面倒見が良く、3代目桂文三がまだ売れない頃に「松づくし」の芸を教えたり、足に合った下駄を工夫してあげるなど、親身になって世話を焼きました。

落語家としての収入が増えた梅枝は、そのお金を人に貸すことを内職にしていましたが、人が良すぎたため、お金を騙し取られたり、踏み倒されたりすることが多く、せっかく貯めた財産も底をついてしまいます。それが原因で精神を病んでしまい、1902年10月9日に静養先の京都から失踪。国鉄片町線の星田駅近くの堤防で意識不明の状態で倒れているところを発見され、翌日、帰らぬ人となりました（駅近くの池で水死体として発見されたという説もあります）。

得意ネタは、『鹿政談』『口入屋』『持参金』『盗人の仲裁』などで、これらの噺をよく演じていました。

梅枝の弟子には、2代目と3代目の桂文喬、3代目桂梅枝、桂枝吉（後の初代桂文治郎）、桂梅之助（後の5代目桂小文吾）などがおり、彼らの育成にも力を注ぎました。

2代目桂梅枝は、その芸と人柄で多くの人に影響を与えた上方落語家でした。

出典
『落語系圖』（月亭春松編）
『古今東西落語家事典』（平凡社、1989年）
『古今東西噺家紳士録』

もう一度検索