桃太郎道中記

桃太郎道中記：江戸時代のボードゲーム体験

1997年9月25日、ハドソンよりセガサターン向けに発売されたボードゲーム『桃太郎道中記』。その名称から連想される通り、人気シリーズ『桃太郎電鉄』と類似したゲームシステムを採用していますが、舞台は江戸時代へと移り変わっています。本作品は、桃太郎電鉄シリーズとは一線を画す、ハドソン単独による開発作品であり、シリーズの生みの親であるさくまあきら氏は制作に関与していません。

豪華クリエイター陣と独特の世界観

『桃太郎道中記』は、豪華なクリエイター陣によって支えられています。ディレクターには、音楽ゲーム『CD電人 ロカビリー天国』のオープニングテーマも手掛けた柴田真人氏、キャラクターデザインは桃太郎シリーズでお馴染みの土居孝幸氏、そしてビジュアルプロデューサーにはアニメ版『桃太郎伝説』の原画を担当した水野祥司氏が参加。さらに、音楽はゴダイゴのタケカワユキヒデ氏が担当するなど、多彩な才能が集結しています。

ゲームの舞台となるのは江戸時代の日本。そのため、桃太郎電鉄シリーズにはない独自の用語やイベントが多数盛り込まれており、プレイヤーは馴染み深い桃太郎電鉄シリーズとは異なる、新鮮なゲーム体験を味わうことができます。キャラクターの服装なども『桃太郎伝説』シリーズを彷彿とさせるデザインとなっており、シリーズファンからのリメイクや続編を望む声も少なくありません。

桃太郎電鉄シリーズとの比較と相違点

基本的なゲームシステムは『スーパー桃太郎電鉄DX』とほぼ同様ですが、『桃太郎道中記』独自の要素も数多く存在します。まず、音楽はタケカワユキヒデ氏によるオリジナル楽曲で構成されており、シリーズでお馴染みのBGMとは一味違った雰囲気を醸し出しています。また、一部キャラクターのセリフやナレーションに声優陣が起用されているのも特徴です。

移動手段も桃太郎電鉄シリーズとは異なっています。徒歩、帆船、大凧など、江戸時代の交通手段をモチーフにした移動方法が採用されているほか、空路やトンネルなどは航路に置き換えられています。さらに、桃太郎電鉄シリーズでは選択できないキャラクターがCOMキャラとして登場し、対戦相手として新たな戦略性も加わっています。

江戸時代風アレンジと新規要素

ゲーム内の用語、地名、物件なども江戸時代に沿った名称に変更されています。「円」は「両」、「カード」はお札」、「物件駅」は「物件のマス」など、時代背景を反映した表現が随所に用いられています。ワープ駅は「ワープ穴」となり、ワープ時に「天使」「小悪魔」「悪魔」「大悪魔」といったキャラクターが取り憑く、独自のシステムも導入されています。

また、イベントも桃鉄シリーズをベースにアレンジされたものや、本作で新規に追加されたものがあります。桃鉄のF1レースは「稲刈り競争」「田植え競争」へと変化し、富くじ、止め女、雷、大雨、黒船、一揆、大名など、桃鉄シリーズにはないイベントも登場します。

ボンビー大魔王とカラクリの戦い

本作にはキングボンビーの代わりに、「ボンビー大魔王」が登場します。ボンビー大魔王は、様々な悪行を働く存在ですが、その悪行は「偉業」と自称するなど、コミカルな要素も持ち合わせています。ボンビー大魔王との戦いは、プレイヤーが操る「カラクリ」と、ボンビー大魔王の戦いの形式で行われます。

PLGS(Personal Live Game System)とその他

『桃太郎道中記』は、セガサターン本体の内蔵時計を利用したPLGSを採用しており、特定の日付にゲームを開始すると、お正月や節分などの季節イベントが発生する裏技が存在します。さらに、桃鉄シリーズにはない北方領土や周辺諸国、架空の地域がマップに含まれているなど、桃鉄シリーズとは異なる独自の要素が数多く盛り込まれています。

まとめ

『桃太郎道中記』は、桃太郎電鉄シリーズをベースにしながらも、江戸時代を舞台にした独自のゲーム性と、豪華クリエイター陣による高いクオリティで、多くのプレイヤーを魅了した作品です。桃太郎電鉄シリーズとは一線を画す、独特の世界観と魅力的なキャラクター、そして戦略性あふれるゲームシステムは、今でも多くのファンを虜にしています。

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