桐山襲

桐山襲の生涯と業績

桐山襲（きりやま かさね、1949年7月26日 - 1992年3月22日）は、日本の小説家で、本名は古屋和男（ふるや かずお）です。東京都杉並区で生まれた桐山は、1983年に『パルチザン伝説』で作家デビューを果たし、文学界に衝撃を与えました。デビューからのわずか8年半で、多くの問題作を生み出していく桐山の姿勢は、新左翼の思想や社会運動と深く結びついていました。

生い立ちと教育

桐山は日大付属第二中学校、同高等学校を経て1968年に早稲田大学第一文学部哲学科に入学しました。在学中、彼は新左翼の学生運動に参加し、特に三里塚闘争でも活動していました。この経験が、彼の作品に大きな影響を与えたとされています。1972年に大学を卒業し、東京都教育庁に就職しますが、作家としての道を歩むことを決意しました。

『パルチザン伝説』の出版と騒動

1982年、桐山は昭和天皇をテーマにした小説『パルチザン伝説』を書き上げます。この作品は第19回文藝賞の候補となりますが、落選。しかし、1983年10月号の『文藝』に掲載され、正式にデビュー作となります。桐山はこの作品を執筆するにあたり、右翼の反発を懸念し、編集者に注意を呼びかけていました。その後、作品は右翼団体からの激しい抗議を受けます。特に、『週刊新潮』は桐山を声高に非難し、作品の内容を誤解させるような記事を掲載しました。これにより、彼の名は一躍広まりましたが、多くの問題とトラブルにも見舞われました。

この事件を通じて、桐山は文芸作品がどのように抑圧され、または利用されるかという問題に真正面から向き合うことになります。右翼による抗議行動が強まる中、出版元の河出書房新社は圧力に屈し、作品の単行本化を中止しましたが、その後、別の出版社から改めて『パルチザン伝説』が刊行されます。この一連の出来事は、桐山にとって文学的抵抗の象徴となりました。

晩年とさらなる業績

桐山は1984年に『スターバト・マーテル』、1984年には『風のクロニクル』を発表します。両作品とも、政治的内容を扱いながらも、文学的手法の探求を行いました。特に『風のクロニクル』は、様々な視点を用いた書簡体の形式が特徴的で、学内の全学共闘会議を描写しました。

しかし、1990年に悪性リンパ腫を宣告されると、彼の創作活動は闘病と交錯しながら続きました。抗癌治療の影響で彼は苦痛を抱えることになりますが、1992年に『未葬の時』を完成させました。この作品は、若くして亡くなった人の葬儀を題材にしたもので、彼の死後、1994年に出版されました。

桐山襲は1992年に入院先で帰らぬ人となります。享年42歳の若さでした。彼の作品は、絶望的な社会問題に直面しつつも、文学を通じて新たな視点を提供し続けました。彼の影響は、現代の作家たちにも色濃く残ることでしょう。彼の著書は現在も多くの読者に支持され続けています。彼が残した多くの問いは、今なお我々にとって重要なテーマであり続けています。

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