桑折景長

桑折景長

桑折景長（こおり かげなが）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将であり、伊達氏の重臣として知られています。出羽国長井郡小松城を拠点としていました。

生涯

永正3年（1506年）、伊達氏の重臣である桑折宗季の嫡男として誕生しました。桑折氏は、伊達氏の祖である伊達義広の庶長子・親長を祖とする家系で、景長は伊達稙宗に宿老として仕えました。

天文11年（1542年）、伊達稙宗が三男の時宗丸を越後守護・上杉定実の養子にしようとした際、景長は中野宗時らと共にこれに反対し、稙宗の長男・晴宗を擁立しました。鷹狩りの帰路にあった稙宗を急襲し、西山城に幽閉するというクーデターを敢行しました。当初、クーデターは成功したかに見えましたが、稙宗は小梁川宗朝によって救出され、娘婿である相馬顕胤や懸田俊宗らを糾合して反撃に転じたため、奥羽諸侯を巻き込む大規模な内乱、天文の乱へと発展しました。景長は晴宗方の主力として戦い、天文17年（1548年）に乱が晴宗方の勝利に終わると、守護不輸権などの特権を獲得しました。弘治元年（1555年）、晴宗が奥州探題職に補任されると、牧野久仲・石母田光頼と共に守護代を拝命し、毛氈鞍覆と白傘袋の使用を許されるなど、格式の上では家臣団中最上位に位置付けられました。しかし、実権は中野宗時が握っていたため、晴宗政権下での景長の権力は、その格式に比して限定的なものでした。

天文22年（1553年）、晴宗による家臣団の知行地の再編に伴い、景長は居城である小松城を牧野久仲に譲り渡し、刈田郡万行楯城に移りました。しかし、永禄13年（1570年）に中野宗時・牧野久仲父子が輝宗によって謀反の疑いをかけられ追放されると、景長は再び小松城主となりました。

当初、景長は稙宗の六男・宗貞を養嗣子として迎えていましたが、天文12年（1543年）9月8日に宗貞が17歳で死去したため、相模国の遊行寺に出家させていた実子の宗長を呼び戻し、還俗させて家督を継がせました。

天正5年（1577年）9月19日に死去。享年72歳。

江戸時代の仙台藩では、伊達騒動後に藩史編纂事業が盛んになりましたが、景長の曾孫である原田宗輔が伊達騒動の首謀者とされ、桑折氏も断絶させられた（宗家は宇和島藩重臣として存続）ことから、景長は中野宗時と並ぶ姦臣として扱われたとされています。宗時と景長が晴宗を唆して父に反乱させたと解釈されましたが、中野氏も桑折氏も仙台藩内に子孫がいなかったため、問題視されることはありませんでした。

参考文献

『川西町史』上（山形県東置賜郡川西町、1979）
平成『桑折町史』（福島県伊達郡桑折町）
第1巻 通史編1（原始・古代・中世・近世1）2002
第5巻 資料編1（古代・中世・近世史料）1987

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