桑木野幸司

桑木野幸司

桑木野幸司（くわきの こうじ、1975年 - ）は、日本の建築美学者であり、大阪大学栄誉教授を務める人物です。静岡県浜松市に生まれ、建築史、美術史、ルネサンス思想史を専門としています。その研究は、西洋建築、特にルネサンス期の庭園や都市計画、文化における記憶術の役割に焦点を当て、学術界で高く評価されています。

学歴と職歴

1997年に千葉大学工学部を卒業後、1999年に東京大学大学院工学系研究科建築史学科修士課程を修了しました。その後、2004年から2006年にかけてピサ大学大学院博士課程で学び、Ph.D.を取得しています。2011年には大阪大学大学院文学研究科准教授に就任し、2020年には大阪大学栄誉教授となりました。

受賞歴

桑木野氏は、その研究業績により数々の賞を受賞しています。2008年に日本学術振興会賞を受賞したのをはじめ、2011年には花王芸術・科学財団美術に関する研究奨励賞、2012年には日本学術振興会賞と地中海学会ヘレンド賞を受賞しています。2019年には、「ルネサンス庭園の精神史」でサントリー学芸賞を受賞しており、その研究の質の高さが広く認められています。

研究内容

専門は、西欧建築・庭園史、美術史、ルネサンス思想史であり、特にルネサンス期の建築や庭園における思想的、文化的な意味合いを深く掘り下げています。著書では、記憶術がルネサンス文化に与えた影響や、庭園や都市が記憶の場として機能していた側面を考察しています。また、ルネサンス期の情報伝達のあり方や、建築家が知識をどのように活用していたかについても研究しています。

著書

L’architetto sapiente : giardino, teatro, citta come schemi mnemonici tra il XVI e il XVII secolo / L.S. Olschki, 2011.
『叡智の建築家 記憶のロクスとしての16-17世紀の庭園、劇場、都市』中央公論美術出版 2013
『記憶術全史 ムネモシュネの饗宴』講談社選書メチエ 2018
『ルネサンス庭園の精神史　権力と知と美のメディア空間』白水社 2019
『ルネサンス　情報革命の時代』ちくま新書 2022

共著

『ルネサンスの演出家ヴァザーリ』野口昌夫編著、石川清・稲川直樹・赤加寿江共著 白水社 2011

翻訳

ロイ・ストロング『イングランドのルネサンス庭園』圓月勝博共訳 ありな書房 2003
パオロ・ニコローゾ『建築家ムッソリーニ 独裁者が夢見たファシズムの都市』白水社 2010
アンドレア・パラーディオ『パラーディオのローマ 古代遺跡・教会案内』ヴォーン・ハート、ピーター・ヒックス編、白水社 2011
ジョン・カナリー『古代ローマの肖像 ルネサンスの古銭収集と芸術文化』白水社 2012
アンドルー・ペティグリー『印刷という革命:ルネサンスの本と日常生活』白水社 2015

外部リンク

大阪大学
* サントリー文化財団

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