桜井鉄太郎 (官僚)

桜井鉄太郎は、1865年に静岡県で生まれ、東京帝国大学法学部を卒業後、官僚としてそのキャリアをスタートさせました。彼は長野県や石川県で参事官を務めた後、岡山県警部長、茨城県書記官、東京税務監督局長、神戸税関長など、数々の要職を歴任しました。さらに、大蔵省では主税局長、関税局長、専売局長などを経て、大蔵次官心得という重要な地位にまで昇り詰めました。また、台湾銀行頭取も務めるなど、その行政手腕は多岐にわたりました。

1920年、桜井は神戸市長に就任しました。当時の神戸市は第一次世界大戦後の不況に見舞われており、財政状況は非常に厳しいものでした。この状況を打開するため、桜井は1922年に市会に対し増税を提案しました。しかし、市会側は増税案に強く反発し、歳出削減や人員整理を要求しました。市会との間で折衷案が検討されましたが、結局は桜井の提案とは真逆の歳出を大幅に削減する議決がなされました。この市会の対応を、桜井は自身への不信任と受け止め、辞意を表明しました。各方面からの慰留があったにもかかわらず、桜井は自らの意思を貫き、1922年5月27日に神戸市長を辞職しました。その後、1945年に生涯を閉じました。

桜井の家族構成は、父が沼津藩士の桜井教孝であり、妻は間宮喜十郎の娘みつでした。甥には清野謙次がおり、長女の嘉子の夫には函館税関長の棚橋直馬がいました。棚橋は愛媛県士族の出身で、東京帝国大学法科大学政治科を卒業しています。

桜井は、その功績から以下の位階と勲章を授与されています。

位階
1905年（明治38年）8月30日 - 正五位
1910年（明治43年）10月31日 - 従四位
1915年（大正4年）12月10日 - 正四位
1916年（大正5年）1月31日 - 従三位

勲章
1906年（明治39年）4月1日 - 勲三等瑞宝章
1911年（明治44年）8月24日 - 勲二等瑞宝章
* 1915年（大正4年）11月10日 - 大礼記念章

桜井鉄太郎は、その生涯を通じて日本の行政に大きく貢献しました。特に神戸市長時代には、困難な財政状況の中でリーダーシップを発揮しようとしましたが、市会との対立によりその職を辞することとなりました。しかし、彼の官僚としての経験と実績は、後世に語り継がれるべきものです。

もう一度検索