梁粛戎

梁粛戎（りょう しゅくじゅう、1920年8月8日 - 2004年8月27日）は、中華民国（台湾）の政治家であり、立法院長を務めた人物です。

生い立ちと初期の活動

1920年、梁粛戎は中国遼寧省昌図県に生まれました。1941年には、満州国長春法政大学（後の長春大学）を卒業しています。在学中の1939年には中国国民党の秘密党員となり、地下工作員として抗日活動に身を投じました。満州国の官吏養成機関である大同学院や司法官訓練所でも学び、その後のキャリア形成に繋げています。

満州国での活動と逮捕

梁粛戎は、満州国で検察官の職に就きましたが、地下工作員としての活動が発覚し、1944年3月に逮捕されました。1945年5月には満州国法院で懲役12年の実刑判決を受け、服役しています。しかし、日本の敗戦とともに釈放され、自由の身となりました。

台湾での政治活動

1948年、梁粛戎は第1回立法委員選挙において、遼寧省選出の立法委員に当選しました。1949年には、国民政府とともに台湾へ移り、以降、台湾で政治家としての道を歩み始めます。

1972年、梁粛戎は当時の行政院長である蔣経国の指示を受け、日中国交正常化を進める田中内閣への説得のために訪日しました。この際、日本側が「両岸同時承認」をした場合には受け入れるという方針を伝えようとしましたが、田中角栄首相との面会は、田中首相がゴルフに出かけてしまったために実現しませんでした。

その後、1977年に中国国民党中央政策委員会副秘書長、1988年には同秘書長に就任し、党内での重要な地位を歴任しました。1989年には立法院副院長、1990年には立法院院長に就任し、台湾の政治において中心的な役割を担いました。1992年に立法委員を退職した後、総統府資政となりました。

退任後の活動と晩年

立法委員退職後は、中国国民党内で反李登輝総統派の重鎮として活動しました。弁護士業を営む傍ら、台湾海峡両岸和平統一促進会会長として、中台関係の改善と平和統一を訴えました。2000年の総統選挙ではNHKのインタビューに応じ、「中台関係は中国人自身の内輪の話だ」と述べています。また、亡くなる半年前には、日本のジャーナリストのインタビューに流暢な日本語で答え、「満州国の実情を知る私は、親日派でも媚日派でもない。しかし知日派でありたいと願い心がけてきたつもりです」と語っています。

2004年8月27日、梁粛戎は心肺衰弱により台北で亡くなりました。同年10月7日には、陳水扁総統から褒揚令が贈られ、その生前の功績が称えられました。

まとめ

梁粛戎は、満州国での官吏経験、中国国民党での要職、日中国交正常化交渉への関与、反李登輝派としての活動など、激動の時代を生き抜いた政治家でした。その波乱に満ちた生涯は、現代の台湾政治史を理解する上で重要な手がかりとなります。台湾と中国の関係、そして台湾の政治史において、梁粛戎は重要な役割を果たした人物と言えるでしょう。

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