梅小路定行

梅小路定行：華族、実業家、そして政治家としての生涯

梅小路定行(うめこうじ さだゆき、1866年-1942年)は、明治から昭和初期にかけて活躍した実業家、政治家、そして華族として、激動の時代を生き抜いた人物です。山城国京都で、讃岐権守・梅小路定明の長男として誕生しました。幼名栄麿。父を早くに亡くし、家督を継承、1880年に名を定行と改めました。

家督相続後、梅小路定行は華族としての地位を確立し、1884年には子爵に叙爵されています。華族としての立場にとどまらず、幅広い分野で才能を発揮しました。京都華族会館勉学所や陸軍士官学校で学んだ後、宮中殿掌に就任。その後、日本勧業理事、不動貯蓄銀行取締役、私立東京工科学校長など、数々の要職を歴任しました。地方政治にも積極的に関与し、京都市会議員や上京区会議員を務めた記録も残っています。政府貸付金処理委員会委員、米穀取引事業審議委員会委員といった国家レベルの委員会にも参加し、その活動は多岐に渡りました。

政治家としての活動も顕著でした。1891年、貴族院子爵議員補欠選挙で当選、1911年まで務めた後、1929年には再び貴族院子爵議員に当選。研究会に所属し、死去するまで実に6期に渡り貴族院議員として活躍しました。貴族院議員としての活動を通して、日本の政治に多大な影響を与えたと推測されます。

私生活においても、梅小路定行は複雑な人生を送りました。最初の妻修子と離婚した後、難波宗明の長女章子と再婚。章子との間には、複数の子供をもうけました。その子供達もそれぞれ異なる道を歩みました。長男定雄は子爵を継承し、刀匠として活躍。二男吉岡定美は東宝社長の吉岡重三郎の長女と結婚し、東京テアトル社長、会長を務めました。しかし、彼の晩年には、遺産相続を巡る訴訟騒ぎが起きたという記録が残っています。三男は養子に出され、庶子も存在したことが分かっています。

梅小路定行が残した『梅小路家譜』をはじめとする複数の文献資料は、彼の生涯とその時代背景を理解する上で貴重な情報源となっています。これらの資料から、梅小路定行が、華族という特権階級に属しながらも、実業界や政界において積極的に活動し、時代の変遷を生き抜いた稀有な存在であったことがわかります。彼の複雑で多面的な人生は、明治から昭和初期にかけての日本社会の変容を映し出す鏡と言えるでしょう。彼に関する詳細な記録は、今後の歴史研究においても重要な役割を果たすものと期待されます。

参考文献

『梅小路家譜』1875年。東京大学史料編纂所所蔵。
筒井住蓮編『大日本華族大鑑』都通信社、1911年。
人事興信所編『人事興信録第 13版 上』人事興信所、1941年。
『貴族院要覧（丙）』昭和21年12月増訂、貴族院事務局、1947年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧[[華族家系大成]] 上巻』霞会館、1996年。

もう一度検索