梅小路運転区

梅小路運転区（うめこうじうんてんく）

梅小路運転区は、京都府京都市下京区観喜寺町に所在する、西日本旅客鉄道（JR西日本）近畿統括本部が管轄する車両基地です。京都鉄道博物館の敷地内に隣接しており、留置線や特徴的な扇形車庫を備えています。かつては1972年（昭和47年）から2015年（平成27年）まで梅小路蒸気機関車館が併設されていました。

この車両基地は、蒸気機関車およびディーゼル機関車の所属基地としての役割を担っており、これらの車両に対する検査や修繕作業が行われています。ただし、運転業務にあたる乗務員の配置はありません。

所属する車両の車体に記される略号は、「梅」です。これは基地の名称である「梅小路」に由来しています。

配置車両

2022年（令和4年）4月1日現在、以下の7両の機関車が配置されています。

C57形蒸気機関車 (C57 1):
1937年（昭和12年）3月22日に川崎車輌で製造されました。新津機関区や佐倉機関区などを経て当運転区に転入しました。この車両は現在も本線での運転が可能な状態で維持されており、「SLやまぐち号」の牽引機として、通常は下関総合車両所新山口支所に配置されています。

C56形蒸気機関車 (C56 160):
1939年（昭和14年）4月20日、川崎車輌で誕生しました。上諏訪機関区などを経て、1972年9月に七尾機関区から移管されました。過去には主に「SL北びわこ号」の牽引に用いられ、多くの場所で出張運転の実績を持ちます。法規上は本線での走行が可能ですが、2018年5月27日の「SL北びわこ号」での運用をもって、営業線上での定期的な運転を終了しました。

D51形蒸気機関車 (D51 200):
1938年（昭和13年）9月30日に鉄道省浜松工場で製造された車両です。1972年10月に中津川機関区から転入しました。1979年（昭和54年）に一時車籍を抹消され（火を入れられる状態で保管）、1987年（昭和62年）に再び車籍が復活しました。その後は梅小路蒸気機関車館の構内において、体験乗車などに使用される構内運転用の動態保存機として活躍していましたが、2017年（平成29年）には本線での運転が可能な状態に整備され、再び営業線に姿を見せるようになりました。

C62形蒸気機関車 (C62 2):
1948年（昭和23年）5月20日に日立製作所で製造されました。1972年9月に小樽築港機関区より移管されました。D51 200と同様に、1979年に車籍が抹消されたものの、1987年に復活。以降は梅小路蒸気機関車館の構内運転用として、運転可能な状態で保存されています。

C61形蒸気機関車 (C61 2):
1948年7月31日、三菱重工業で製造された車両です。1972年9月に宮崎機関区から転入しました。この車両も1979年に車籍を一時的に失いましたが、1987年に復活しました。それ以降は、構内運転用の動態保存機として、梅小路蒸気機関車館の敷地内で運行されています。

DE10形ディーゼル機関車（DE10 1118・1156）:
2両のディーゼル機関車が所属しています。主に車両の入換作業や、嵯峨野観光鉄道の列車牽引用として運用されています。特にDE10 1156号機は、嵯峨野観光鉄道の専用カラーリングが施されています。

歴史

梅小路運転区の歴史は古く、その起源は明治時代に遡ります。

1876年（明治9年）9月5日、「京都機関庫」として暫定的に開設されました。
1897年（明治30年）2月15日には、京都鉄道によって「二条機関庫」が開設されます。
1914年（大正3年）10月10日、この二つの機関庫が統合され、「梅小路機関庫」が誕生しました。
1936年（昭和11年）9月1日、「梅小路機関庫」は「梅小路機関区」と名称を変更します。
国鉄の分割民営化に伴い、1987年（昭和62年）3月1日には「梅小路運転区」に改称され、同年4月1日には西日本旅客鉄道に引き継がれました。
1990年（平成2年）3月14日、それまで所属していた乗務員が京都電車区や米原列車区などへ配置転換され、この運転区には乗務員が配置されなくなりました。

京都鉄道博物館や隣接する梅小路公園とともに、日本の鉄道史を今に伝える重要な場所となっています。

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