梨壺の五人

梨壺の五人

梨壺の五人（なしつぼのにん）とは、平安時代中期の天暦5年（951年）に、村上天皇の命によって設置された和歌所の寄人として、昭陽舎（しょうようしゃ）に集められた五人の歌人のことを指します。昭陽舎は、平安京の内裏における七殿五舎の一つであり、その庭に梨の木が植えられていたことから「梨壺」と呼ばれていました。

概要

村上天皇は、勅命によって『万葉集』の訓読と『後撰和歌集』の編纂を彼らに命じました。この事業は、当時の文化・文芸の発展に大きく貢献することになります。

五人はそれぞれの専門知識や才能を生かし、難解な『万葉集』の解読を進めました。また、『後撰和歌集』は、『古今和歌集』に続く勅撰和歌集として、和歌の世界に新たな潮流を生み出しました。

構成メンバー

梨壺の五人は、以下の通りです。

1. 大中臣能宣（おおなかとみのよしのぶ）：歌人。
2. 源順（みなもとのしたごう）：歌人、学者。
3. 清原元輔（きよはらのもとすけ）：歌人。
4. 坂上望城（さかのうえのもちき）：歌人、学者。
5. 紀時文（きのときぶみ）：歌人、学者。


彼らは、歌人としての才能はもちろんのこと、古典に対する深い知識や教養を持ち合わせていました。そのため、『万葉集』の解読という難事業を成し遂げることができたと言えるでしょう。

『万葉集』解読

『万葉集』は、古代日本の歌を集めた歌集ですが、その成立過程や作者、歌の解釈には不明な点が多くありました。梨壺の五人は、文献を渉猟し、歌の背景にある歴史や文化を研究することで、歌の解釈に新たな光を当てました。彼らの研究成果は、後の万葉集研究に大きな影響を与えたと言われています。

『後撰和歌集』編纂

『後撰和歌集』は、村上天皇の命によって編纂された勅撰和歌集です。梨壺の五人は、多くの歌の中から優れた歌を選び、配列する作業を担当しました。彼らの選んだ歌は、洗練された美意識と豊かな感情表現を持っており、後世の歌人に大きな影響を与えました。

意義

梨壺の五人の活動は、平安時代の文化・文芸の発展に大きく貢献しました。彼らの業績は、日本の古典研究の基礎を築き、和歌の世界に新たな可能性を開いたと言えるでしょう。また、彼らが集められた昭陽舎は、文化サロンのような役割を果たし、多くの文化人が集まる場所となりました。

関連項目

* 昭陽舎

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