坂上望城

坂上望城

坂上望城（さかのうえ の もちき）は、平安時代中期に活躍した貴族、歌人です。父は三十六歌仙の一人である坂上是則。

経歴

生年は明確でなく、没年も天延3年（975年）、天元3年（980年）、貞元3年（978年）など諸説ありますが、いずれも確証はありません。

村上天皇の時代、天暦3年（949年）に越前掾に任官。その後、天暦6年（952年）に西市正、天徳3年（959年）には内蔵允と、京官を歴任しました。

冷泉天皇から円融天皇の時代にかけては外記を務め、康保4年（967年）に権少外記、次いで少外記、安和2年（969年）には大外記に任じられました。天禄元年（970年）には従五位下・美濃介に叙任され、天延3年（975年）には石見守となり、その後は地方官を歴任しました。

父・是則と同様に和歌に才能を発揮し、天暦5年（951年）には村上天皇の命により昭陽舎に置かれた和歌所の寄人（御書所預）に選ばれ、梨壺の五人の一人として『万葉集』の訓読や『後撰和歌集』の撰集に携わりました。また、『天徳内裏歌合』にも歌を出詠しています。

勅撰和歌集には、『拾遺和歌集』と『後拾遺和歌集』にそれぞれ1首ずつ作品が収録されています。しかし、残念ながら家集は現存していません。

歌人としての評価は必ずしも高くはなく、『八雲御抄』では、紀時文と並び、「親の七光り」と酷評されています。

官歴

天暦3年（949年） 正月：越前掾
天暦6年（952年） 12月：西市正
天徳3年（959年） 日付不詳：内蔵允
康保4年（967年） 正月20日：権少外記。10月28日：少外記
安和2年（969年） 10月19日：大外記
天禄元年（970年） 11月20日：従五位下。12月16日：美濃介
時期不詳：美濃権守
天延3年（975年） 4月：石見守
天元3年（980年） 8月：卒去

系譜

父：坂上是則
母：不詳
生母不明の子女
男子：坂上兼範
男子：坂上厚範

参考文献

井上幸治編『外記補任』八木書店、2005年

関連項目

坂上明兼 - 明法道坂上氏の流祖で、望城の系図上の5世孫

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