梯儁

梯儁（てい しゅん）は、生没年が不詳の人物で、魏の時代に朝鮮半島に設置された植民地である帯方郡において、建中校尉という役職を務めていました。彼の名前は、238年に倭国（当時の日本）が魏に使節を送った際の記録に登場します。

238年、倭国の女王である卑弥呼は、魏との国交を求めて初めて使節を派遣しました。この時、帯方郡の太守であった劉夏は、当時戦乱状態にあった遼東半島を通過することを危惧し、倭国の使節である難升米の一行に護衛兵と案内役を付けて、魏の都である洛陽まで送り届けました。使節団は無事に洛陽に到着し、魏の明帝に謁見しました。

明帝は卑弥呼からの使節を大変歓迎し、破格ともいえるほど莫大な下賜品を与えようとしましたが、その直後の239年正月に崩御してしまいます。そのため、下賜品が実際に倭国に届けられたのは240年となりました。

この時、魏の帯方太守であった弓遵は、建中校尉の梯儁らを倭国に派遣しました。彼らは、魏の皇帝からの詔書と印綬を携え、倭国に到着しました。梯儁らは、倭国の王に拝謁し、魏からの詔を伝え、さらに金、帛（絹織物）、錦罽（きんけい、錦織の毛織物）、刀、鏡、采物（美しい織物）といった多くの贈り物を与えました。

この出来事は、当時の魏と倭国の関係を物語る重要な史実であり、梯儁は、その歴史的な瞬間に重要な役割を果たした人物と言えるでしょう。彼の名前は、倭国が魏との関係を深める上で、重要なキーパーソンの一人として、歴史に刻まれています。

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