梵天山古墳群

梵天山古墳群

梵天山古墳群は、茨城県常陸太田市島町に位置する古墳群で、その大部分が茨城県の史跡に指定されています。この古墳群の中心となるのは、県内でも2番目に大きい前方後円墳である梵天山古墳です。本稿では、この古墳群全体の概要と、主墳である梵天山古墳について詳しく解説します。

概要

常陸太田市の常陸太田地区、標高約30メートルの独立丘陵に位置する梵天山古墳群は、丘陵全体に広がっています。古墳群は、13基の高塚墳と「島の百穴」と呼ばれる横穴墓群から構成されています。横穴墓は約100基、または60数基が存在し、現在でも約30基が開口しています。特に注目されるのは、古墳群の主墳である梵天山古墳で、県内でも有数の規模を誇る前方後円墳です。その他の高塚墳は、直径30メートルに及ぶ大規模な円墳です。

文化財

梵天山古墳群は、その歴史的価値から、国、県、市町村によって史跡として指定されています。茨城県指定史跡としては、昭和28年（1953年）7月9日に指定され、宝金剛院が所有・管理しています。管理者は常陸太田市です。指定範囲は高塚墳の一部を除く古墳群全体で、梵天山古墳も含まれています。

また、梵天山古墳群と枕石寺は「茨城百景」にも選定されており、高山塚古墳群や百穴を含む風景が評価されています。

古墳群のある丘陵には、以下の埋蔵文化財包蔵地も存在します。

島横穴墓群：古墳時代の横穴墓群
御所内遺跡：弥生時代から中世にかけての集落跡
岡町遺跡：縄文時代から奈良・平安時代にかけての集落跡
塚越遺跡：古墳時代から奈良・平安時代にかけての集落跡

所在地

梵天山古墳群は、茨城県常陸太田市島町2317外、または島町岡町2324外に位置しています。

梵天山古墳

梵天山古墳は、梵天山古墳群の主墳であり、石岡市の舟塚山古墳に次いで、茨城県内で2番目に大きい前方後円墳です。古墳の範囲内には梵天山の山頂も含まれています。

概要

前方部を西方または南西に向けており、葺石、埴輪、周溝は見られません。また、発掘調査も行われていません。梵天山古墳群の一部として茨城県の史跡に指定され、茨城百景にも選ばれています。

築造時期

築造時期については、以下の複数の説があります。

前方部が未発達であることから古墳時代初期とする説（茨城県教育委員会）。
前方部が著しく未発達であることから古墳時代前期とする説（常陸太田市観光物産協会）。
墳形から5世紀中頃とする説（『日本歴史地名大系第八巻 茨城県の地名』）。
5世紀前半とする説。

被葬者

古墳の規模から、久慈川流域を支配した首長の墳墓と考えられていますが、被葬者については以下の説があります。

初代久自国造の船瀬足尼の墓と伝えられている（現地説明版）。
久自国造舟瀬宿祢の墓と考えられている（茨城県教育委員会）。
久慈川流域を支配していた久自国造舟瀬足尼の墳墓と伝えられている（常陸太田市観光物産協会）。

規模

現地説明板によれば、古墳の規模は以下の通りです（常陸太田市観光物産協会は全長160mとしています）。

墳丘長：151m
後円部：直径81m、高さ13m
前方部：幅57m、高さ8m

梵天山

梵天山は、常陸太田市島町にある標高40mの山で、古墳群のある丘陵の最高地点です。梵天山古墳の後円部南南西側斜面に山頂があります。

梵天山古墳群は、古代の常陸太田地域の歴史を物語る貴重な史跡であり、その規模と多様な構成要素から、当時の社会や文化を知る上で重要な役割を果たしています。

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