森安孝夫

森安孝夫（もりやす たかお）は、1948年2月11日に生まれ、2024年8月26日に逝去した日本の歴史学者です。大阪大学の名誉教授であり、神戸市外国語大学の客員教授も務めていました。また、財団法人東洋文庫の兼任研究員としても活動していました。専門は、中央ユーラシア史、特にイスラム化以前の時代における歴史を研究していました。

福井県坂井郡三国町（現在の坂井市の一部）出身で、1966年に福井県立藤島高等学校を卒業後、1972年に東京大学文学部東洋史学科を卒業しました。その後、1975年に同大学院人文科学研究科東洋史専攻の修士課程を修了し、1981年には同大学院の博士課程を単位取得退学しました。1992年には「ウイグル＝マニ教史の研究」で博士（文学）の学位を取得しています。

1982年に金沢大学文学部の助教授に就任し、1984年には大阪大学文学部の助教授となりました。1994年に同大学の教授に昇進し、1998年からは大学院文学研究科の教授を務めました。2012年に大阪大学を定年退任し、名誉教授の称号を受けました。退任後も研究活動を続け、2012年から2015年まで近畿大学国際人文科学研究所の特任教授、2015年からは神戸市外国語大学の客員教授を務めていました。2018年には、公益財団法人東洋文庫の監事および客員研究員にも就任しています。

森安孝夫の研究は、敦煌やトゥルファンから出土した文書、モンゴル高原の碑文、そして漢籍史料を駆使し、中央ユーラシアの歴史を多角的に捉えるものでした。特に、ウイグル、ソグドといった民族の文化交流史における役割を明らかにし、シルクロードを通じた東西文化の交流史に大きな貢献をしました。その研究成果は、多くの著書や論文で発表されています。

主な著書には、『シルクロードと唐帝国』、『東西ウイグルと中央ユーラシア』、『シルクロード世界史』などがあります。これらの著作は、一般読者にも理解しやすいように書かれており、中央ユーラシア史の入門書としても広く読まれています。また、『中央アジア出土文物論叢』や『ソグドからウイグルへ シルクロード東部の民族と文化の交流』などの編著もあり、この分野の研究の進展に大きく貢献しました。中国語の著作として『古代突厥語語法綱要』もあり、国際的な研究交流も盛んに行なっていました。

森安孝夫は、2024年8月26日に胃がんのため、大阪府豊中市の病院で76歳で逝去しました。その功績を称えられ、叙正四位、瑞宝中綬章が追贈されました。彼の研究は、中央ユーラシア史研究において重要な基盤となっており、その学術的な貢献は今後も高く評価されるでしょう。

主な著作

『シルクロードと唐帝国』 講談社「興亡の世界史5」 2007／講談社学術文庫 2016
『東西ウイグルと中央ユーラシア』 名古屋大学出版会 2015
『シルクロード世界史』 講談社選書メチエ 2020
『古代突厥語語法綱要(古代突厥語語法綱要)』上海古籍出版社 2021
『中央アジア出土文物論叢』責任編集 朋友書店 2004
『ソグドからウイグルへ シルクロード東部の民族と文化の交流』汲古書院 2011

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