森岡栄治

森岡栄治の生涯とボクシングキャリア

森岡栄治（もりおか えいじ、1946年6月8日 - 2004年11月9日）は、大阪出身のプロボクサーであり、1968年のメキシコシティーオリンピックにおいてボクシングバンタム級の銅メダリストとして名を馳せました。彼は、日本のボクシング界において印象的な業績を残した選手の一人です。

若き日の挑戦

森岡は、学生時代からその才能を発揮しました。大阪浪商高校（現在の大体大浪商高）に在籍中、3年生の時にインターハイでバンタム級にて優勝を果たし、その後近畿大学商学部に進学しました。大学在学中には、1965年から日本国内の全日本選手権で4連覇を達成するなど、アマチュアボクサーとして順調にキャリアを進めました。

1968年のメキシコシティーオリンピックでは、銅メダルを獲得しました。決勝進出を狙った試合では、不可解な判定によって敗れましたが、「メキシコの人たちが、あれだけ騒いでくれたことがうれしい」との言葉を残しました。このように、彼自身の競技者としての精神は大会の観客にも深い印象を与えました。アマチュア時代の成績は、138戦で128勝（うち72KO）し、10敗という素晴らしいものでした。

プロボクサーとしての道

大学を卒業後、森岡は東京の高橋ジムでプロボクサーとしてデビューを果たしましたが、選手としての厳しい現実にも直面しました。日本バンタム級王者の内山真太郎に挑みましたが、思うような結果を残せず、団体内での活躍には限界を感じていました。さらに、25歳の時に右目の網膜剥離が原因で競技を引退する決断を下しました。プロ戦績は11戦7勝4敗というものでした。

引退後の活動

引退後、森岡は1978年に大阪玉造に森岡ボクシングジムを設立し、指導者としてボクシング界に戻りました。その後、ジムは天六、天満橋、池田市と移転し、2002年には川西市の一の鳥居駅前に現在の位置へ移りました。指導者としての森岡は、その熱意と経験をもとに、多くの若手選手たちを育成していきました。

さらに、1998年から3年間は西日本ボクシング協会の会長を務め、近畿大学体育会ボクシング部のOB会会長も歴任しました。彼の教えを受けた選手たちの中には、2013年のカザフスタンで開催されたアジアジュニア選手権でメダルを獲得した者もおり、彼の指導の成果が表れています。

最期とその後

2004年、森岡は食道癌により58歳でこの世を去りました。その死は多くのボクシング関係者や選手たちに衝撃を与えました。彼のボクシングジムは息子の和則によって引き継がれ、森岡ボクシングジムとしてエイジスポーツクラブの一部門として運営されています。このジムは「ブロンズチーム」として知られ、森岡の指導スタイルや哲学は引き継がれています。

また、甥にあたる脚本家の森岡利行によって、森岡栄治の実績を元にした映画『子猫の涙』も制作されました。この映画は、彼の生き様を描いた作品として多くの人々に感動を与え、評価を得ています。

森岡栄治の生涯は、彼が競技者として、また指導者として多くの人々に支えられた歴史を物語っています。彼の影響を受けた選手たちは、今もその教えを胸に活動を続けています。

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