森忠明

森 忠明

森 忠明氏は、1948年5月11日に東京都立川市に生を受けた、日本の詩人であり、児童文学の分野でも広く知られる作家です。現在、あきる野市に居を構えています。大東文化大学日本文学科に在籍しましたが、後に学業を終えることになります。

そのキャリアは、高校時代に投じた詩がきっかけで開かれました。1965年、『高3コース』誌に掲載された彼の詩が、当時著名な寺山修司氏の選により入選。これを機に、翌1966年には寺山氏に師事し、詩作および脚本に関する指導を受けました。1967年には寺山氏が主宰する「天井桟敷」に文芸演出部員として加わり、演劇の世界にも深く関わることになります。大学を中退した1968年を経て、1969年には天井桟敷を離れ、アニメ制作会社タツノコプロでの勤務経験を積んだ後、フリーランスとしての活動を開始しました。

児童文学および児童演劇の分野で、早くからその才能が認められました。1973年には、脚本『ボビーよぼくの心を走れ』がNHK主催の児童演劇脚本募集においてNHK賞を受賞。また、彼の作品は映像化もされており、1977年には『きみはサヨナラ族か』がNHK少年ドラマシリーズとして放送されました。

その後の創作活動においても、数々の栄誉に浴しています。1987年には童話『へびいちごをめしあがれ』で新美南吉児童文学賞を受賞。1988年には、児童文学者の大石真氏に師事するとともに、著名な児童文学同人誌『びわの実学校』に参加しました。1991年には『ホーン岬まで』で野間児童文芸賞を、1998年には『グリーン・アイズ』で赤い鳥文学賞を受賞するなど、日本の主要な児童文学賞を立て続けに獲得し、その地位を不動のものとしました。

森氏の活動は、純粋な文筆業に留まりません。2001年には、関東医療少年院にて計三度、講師として招かれました。この経験の中で、特に注目すべきは、神戸連続児童殺傷事件の加害者である「少年A」との面談です。彼は少年Aから小説『瞹想笑いに手には名刺を』を受け取り、その後の著書『ともきたる　空谷跫音録』において、少年Aが出版した手記『絶歌』に対し、独自の視点から批判的な考察を展開しています。このことは、文学者としての探求心と、社会問題に対する深い関わりを示すものです。

多岐にわたる作品群も森氏の特長です。『あしたのぼくらはだれだろう』『風はおまえをわすれない』『ホーン岬まで』『グリーン・アイズ』など、多くの童話作品を発表しており、小学校の教科書やアンソロジーにもしばしば収録されています。また、詩集『ハイティーン詩集』、随筆集『ねながれ記』『タチカワ誰故草』、そして前述の『ともきたる　空谷跫音録』といった著作があります。

アニメーション作品にも文芸担当として関わっており、『昆虫物語 みなしごハッチ』『いなかっぺ大将』『樫の木モック』などの人気番組に携わりました。戯曲・脚色の分野でも、『ボビーよぼくの心を走れ』や宮沢賢治原作の『蛙のゴム靴』など、多くの作品を手がけています。近年では、園田英樹氏との共作や、NHK東京児童劇団のための作品も発表しています。さらに、加川良氏が作曲した楽曲の作詞や、他の作家の著作への跋文・序文の寄稿など、その活動範囲は広大です。

作家としての道を歩む中で、森氏のもとには多くの人々が学びに来ました。園田英樹氏や長原啓子氏らが彼の弟子として知られています。詩、童話、演劇、アニメ、そして社会問題への関わりまで、森忠明氏は多様な領域で活躍し、日本文学界において独自の存在感性を示す存在であり続けています。

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