森為三とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

森為三（もりためぞう）

森為三は、1884年 6月1日に兵庫県姫路市で生まれた日本の動物学者です。旧字体では「森爲三」と表記されます。彼は、東アジア、特に朝鮮半島における淡水魚の研究に多大な貢献をしました。

生涯

教育者としてのキャリア

森為三は、1909年4月に韓国に渡り、官立漠城高等学校の教授として教鞭を執り始めました。この学校は後に京城高等普通学校、さらに京城第一高等普通学校と名称を変えましたが、森は1924年5月までの15年間、この学校で教育に携わりました。その後、11ヶ月間の空白期間を経て、1925年4月30日に京城帝国大学予科の教授に就任しました。京城帝国大学の関係資料によると、森は当初、農林専門学校出身で学士の資格がなかったため講師として勤務していたとされています。そのため、この11ヶ月間は講師として教鞭を執り、その後正式に教授として採用されたと考えられています。

研究者としてのキャリア

1936年、森為三は京都帝国大学に学位論文「Studies on the geographical distribution of freshwater fishes in eastern Asia（東亜に於ける淡水魚類の地理的分布に就ての研究）」を提出し、理学博士号を取得しました。この研究は、東アジアにおける淡水魚の地理的分布に関する重要な貢献となりました。また、京都大学理学部大津臨湖実験所（現在の生態学研究センター）には、森が収集した日本、韓国、台湾、中国本土の淡水魚の標本コレクションが保管されています。このコレクションは、彼の研究活動の重要な成果の一つです。

その他の研究活動

森為三は、動物学の研究者として、淡水魚の研究以外にも、珍島犬の調査や満州地域における脊椎動物の調査も行っていました。彼の研究は多岐にわたり、動物学の幅広い分野に貢献しました。

退官と晩年

1946年5月31日、森為三は京城帝国大学予科教授をポツダム命令により自然退官しました。その後、1962年 7月17日に亡くなりました。彼の死後、叙勲二等授瑞寶章、位一級追陞が贈られました。

受賞と栄典

森為三は、数々の賞を受賞しています。

1941年：朝鮮文化功労賞（朝鮮総督府より授与）
1951年：兵庫県教育功労賞
1958年：兵庫県文化賞

また、戦前から戦時中にかけて数回にわたり、瑞寶章が授与され、叙位も行われました。

1962年：（死没に伴い）叙勲二等授瑞寶章、位一級追陞（故四位森為三）。

著作

森為三は、多くの著書や論文を発表しています。以下はその一部です。

著書

森為三 (1922). 朝鮮植物名彙. 朝鮮總督府學務局.
森為三 (1928). 滿洲及東部内蒙古脊椎動物目録. 森爲三.
森為三 (1934). 熱河の淡水魚類に就て. 第一次滿蒙學術調査研究團報告, 第5部第1編.
森為三 (1935). 熱河の淡水魚類に就て. 第一次滿蒙學術調査研究團報告, 第5部第1編. 岩波書店 (発売).
福井玉夫, 尾形藤治, 三坂和英, 丘浅次郎, 瀧庸, 森為三 (1939). 熱河省産寄生吸蟲類. 熱河省産毛足類. 熱河省産蛭類. 熱河省産軟体動物. 熱河省及其ノ北部地方産哺乳類. 第一次滿蒙學術調査研究團報告, 第5部第1區第1編, 第5部第2區第4編.
森為三, 斎藤孝蔵, 石戸谷勉, 趙福成, 沖波實, 一色於菟四郎, 植木秀幹 (1939). 北支蒙疆地方學術調査團報告論文集. 朝鮮自然科学協会.

論文

森爲三 (1928), “FOUR NEW SPECIES OF BATS (VESPERTILIONIDAE) FROM KOREA”, 日本動物学彙報 11 (4): 389-395
森爲三 (1930), “ON FOUR NEW SMALL MAMMALS FROM MANCHURIA”, 日本動物学彙報 12 (2): 417-420
森為三 (1952), “オースチン著"The Birds of Korea"の補遺”, 鳥 13 (61): 16-19
森為三 (1954), “朝鮮慶州炭坑より出土したる旧象化石Bunolophodon sp.に就て(組織・實驗形態・遺傳)”, 動物学雑誌 163: 185-86
森為三 (1955), “京都府経ヶ崎沖合より発見されたる深海魚の2新種に就いて”, 兵庫農科大学研究報告. 自然科学編 2 (1): 1-4
三好保徳; 石山礼蔵; 原田五十吉; 阿部襄; 森為三; 林田和男; 中川宏 (1959), “綜合討論(生態・分類)”, 動物学雑誌 68: 109-110

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森為三（もり ためぞう）

生涯