森田恒之

森田恒之氏(1938年4月18日生まれ)は、日本の博物学者として高い評価を受けている人物です。専門は博物館学、保存科学、そして色彩材料学と多岐に渡り、その幅広い知識と経験から、日本の博物館界に多大な貢献を果たしました。

氏は、東京都出身で、東京芸術大学美術学部芸術学科を卒業後、同大学院美術専攻絵画修士課程を修了しています。芸術の基礎を築いた後、氏はさらに専門性を高めるため、ベルギー国王立文化財研究所で研究生として研鑽を積みました。帰国後は、埼玉県立博物館学芸員、東京都美術館学芸員を歴任し、博物館における実務経験を豊富に蓄積しました。

1979年、国立民族学博物館に着任。助教授、教授として、長年にわたり研究活動に尽力しました。1993年には教授に昇進、1998年には同博物館民族学研究部教授、そして2000年には民族学研究開発センター教授と、要職を歴任しました。2002年3月末に国立民族学博物館を定年退職後は、名誉教授として博物館界への貢献を続けています。現在も愛知県立芸術大学客員教授として後進の育成にも携わっています。

森田氏の業績は研究活動にとどまりません。数々の著作も残しており、その代表作として単著の『画材の博物誌』(中央公論美術出版、1994年)が挙げられます。この著作は、絵画制作における材料に関する深い知識と洞察を示しており、美術史研究や保存科学の分野においても高く評価されています。また、伊藤寿朗氏との共著『博物館概論』(学苑社、1978年)は、博物館学の入門書として長く読み継がれており、博物館学の発展に貢献しました。さらに、『カラー版 絵画表現のしくみ―技法と画材の小百科』(美術出版社、2000年)の監修も務めており、広く一般への美術知識の普及にも努めています。

森田氏の家系も特筆に値します。祖父は著名な洋画家、森田恒友氏です。芸術一家に生まれた氏が、博物学の道を歩み、芸術と科学の両分野に精通する稀有な存在となったことは、氏の経歴を語る上で重要な要素と言えるでしょう。芸術と科学の融合、そして博物館学という学問分野への貢献を通して、森田恒之氏は日本の文化と学問の発展に大きく寄与しました。その功績は、今後も高く評価され続けることでしょう。

もう一度検索