森谷真理

森谷 真理（もりや まり）

日本のクラシック音楽界を代表するソプラノ歌手。

栃木県小山市に生まれた森谷真理は、武蔵野音楽大学および同大学院を主席で修了後、ニューヨークのマネス音楽院でさらに研鑽を積みました。その才能は早くから認められ、国際的なコンクールで次々と入賞・優勝を果たし、国内外で脚光を浴びる存在となりました。現在は名古屋音楽大学准教授のほか、東京藝術大学や洗足学園音楽大学で講師としても教鞭を執り、後進の育成にも力を注いでいます。また、出身地である小山市の小山評定ふるさと大使、とちぎみらい大使も務めています。

欧米での活躍

森谷真理のキャリアは、世界の主要な歌劇場での出演によって彩られています。特に、2006年にニューヨークのメトロポリタン歌劇場にデビューし、モーツァルトのオペラ『魔笛』における夜の女王役で鮮烈な印象を与えたことは、彼女の国際的な評価を確立する上で重要な一歩となりました。その後、オーストリアのリンツ州立劇場で専属歌手として活躍したほか、ウィーン・フォルクスオーパーなど、ヨーロッパ各地の多くの歌劇場に招かれました。2022年にはドイツのザクセン州立歌劇場でプッチーニの『蝶々夫人』のタイトルロールを演じ、その表現力の豊かさと存在感で注目を集めました。

国内での活動

国内においても、日本の主要なオペラ団体や劇場で重要な役を数多く演じています。兵庫県立芸術文化センターでの『夏の夜の夢』、日生劇場でのドニゼッティ『ランメルモールのルチア』、二期会では『蝶々夫人』、『サロメ』、『ルル』といった難役のタイトルロールを務め、いずれも高い評価を得ました。新国立劇場でもビゼー『カルメン』、R.シュトラウス『ばらの騎士』、プッチーニ『蝶々夫人』、ヘンデル『ジュリオ・チェーザレ』などに出演し、その歌唱と演技で観客を魅了しています。特に、びわ湖ホールが企画・制作するオペラシリーズには継続的に出演しており、『リゴレット』、『魔笛』、ワーグナーの楽劇『ラインの黄金』、『ワルキューレ』、『神々の黄昏』、『ローエングリン』、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』、モーツァルト『フィガロの結婚』、J.シュトラウス2世『こうもり』、『ばらの騎士』といった多彩な作品で重要な役柄を演じ、聴衆を惹きつけ続けています。

コンサート活動と特筆事項

オペラにとどまらず、コンサート分野でも幅広く活躍しています。レパートリーはバロック時代から近現代作品まで多岐にわたり、それぞれの時代の様式を捉えた表現で聴衆を魅了しています。近年では、プーランクのモノオペラ『人間の声』や、アルバン・ベルクの『ヴォツェック』より３つの断章、R.シュトラウスの『4つの最後の歌』などで、その表現力の深さと卓越した技術がメディアから絶賛されました。

また、2019年には「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」において、国歌独唱という大役を務め、日本国民にその歌声を届けました。

主な受賞歴

森谷真理は、その才能と努力が認められ、数々の栄誉に輝いています。

2005年 メトロポリタンオペラ・ナショナルカウンシル・オーディション ファイナリスト
2005年 リチア・アルバネーゼ プッチーニファウンデーション 入賞
第44回 マリオ・ランツア奨学金 特別賞受賞
第1回 クラ・ミューズ声楽コンクール 優勝
2006年 リーダークランツ財団声楽コンクール リューツ・リーデル賞受賞
2006年 チャールズ・リーナム声楽コンクール 優勝
2007年 ヴェロニカ・ダン国際声楽コンクール 優勝
2007年 カーディフ・シンガー・オブ・ザ・ワールド 日本代表、コンサート賞受賞
第27回 国際ハンス・ガボアベルヴェデーレ声楽コンクール ハンス・ガボア賞受賞
2020年 下總睆一音楽賞受賞

これらの受賞歴からもわかるように、森谷真理は国際的な舞台で高く評価される実力派ソプラノとして、現在も国内外で精力的に活動を続けています。今後のさらなる活躍が期待されています。

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