楊俊 (曹魏)

楊俊（よう しゅん）

楊俊（生年不詳 - 222年）は、後漢末期から三国時代の魏にかけての政治家であり、字は季才と称しました。司隷河内郡獲嘉県（現在の河南省新郷市獲嘉県）の出身で、子については記録がありませんが、孫に楊覧と楊猗がおり、孫娘は西晋の東海王司馬越の母となりました。

生涯

若い頃、楊俊は辺譲のもとで学問を修め、その才能を高く評価されていました。後漢末の混乱期には、河内が交通の要所であることを見抜き、京県や密県の人々を率いて山に避難し、身分の分け隔てなく人々を受け入れました。また、親族や旧知の者が誘拐された際には、私財を投じて彼らを救済したと伝えられています。

河内において司馬朗の名声が高まる中、楊俊はまだ若年であった司馬懿の才能をいち早く見抜きました。また、当時は無名であった司馬芝の才能を認め、その能力を高く評価しました。さらに、戦乱で孤児となり身分の低い生活を送っていた王象を見出し、彼らの才能が開花するきっかけを作りました。このように、楊俊は多くの優れた人材を発掘し、世に送り出したのです。

曹操に仕えた楊俊ですが、魏諷の乱に連座して責任を負い、左遷されることになります。しかし、曹丕が即位すると復職を果たしました。曹丕と曹植との家督争いでは曹植を支持したため、曹丕が太子となり、後に魏の皇帝として即位すると、楊俊は疎まれる存在となりました。

曹丕が巡行の際、南陽郡の宛の県令が城門を閉ざしたことを理由に、曹丕は南陽太守であった楊俊を捕縛し、自殺に追い込みました。曹丕と親しかった司馬懿や王象は、楊俊の助命を嘆願しましたが、聞き入れられませんでした。楊俊自身も潔く罪を認め、自ら命を絶ったとされています。人々はその冤罪を悲しみ、悼みました。王象も楊俊を救えなかったことに心を痛め、ほどなく病死したと伝えられています。

楊俊の二人の孫は、魏および西晋に仕え、それぞれの時代で活躍しました。

出典

* 『三国志』魏志 和常楊杜趙裴伝第十三

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