楊僕

楊僕の生涯と功績

楊僕（よう ぼく、生没年不詳）は、前漢の時代に活躍した軍人であり、河南郡宜陽県の出身です。彼は楼船将軍として知られ、南越、閩越、そして衛氏朝鮮の征服において大きな功績を残しました。

軍歴のスタート

楊僕は千夫という武功爵からキャリアをスタートさせました。彼はその後、吏（役人）として河南の太守に推挙され、御史の職に任じられます。関東地域の盗賊を取り締まる任務にあたり、先輩の尹斉を模範にして攻撃的な手法を用いたため、歴史書『漢書』においては酷吏としても名を馳せました。また、彼は兵書の逸文を集めた『兵録』を編纂し、武帝に献じたことも記録されています。

南越の征討

元鼎5年（紀元前112年）、南越が反乱を起こすと、楊僕は楼船将軍としてその鎮圧に当たります。南下して南越に進軍し、最初の交戦で見事に勝利を収め、物資を奪取するなどの成果を挙げました。さらに、伏波将軍の路博徳と共に南越を征服し、元鼎6年（紀元前111年）3月には将梁侯として封ぜられる勲功を得ました。

閩越の征討

楊僕はまた、閩越の王が南越征伐に参加すると言いながら実態は異なっていたことを批判し、閩越王騶余善に対する処罰を求めました。しかし武帝は兵士の疲弊を理由に彼の要請を退けました。これを受けた閩越が反乱を起こすと、楊僕は他の将軍と共に征伐に乗り出します。元封元年（紀元前110年）冬、漢軍は一斉に閩越に侵攻しましたが、予想外の激しい抵抗に直面します。とはいえ最終的に楊僕は勝利を収め、騶余善を討ち取って閩越を降伏させました。

朝鮮の征討

その後、元封2年（紀元前109年）、漢に従わなかった衛氏朝鮮を征討するため、楊僕は5万の軍隊を率いて斉から攻め込みました。しかし、歩兵に敗北を喫し、山中に隠れる羽目になりました。その後、他の将軍と共に首都の王険城を攻めましたが、征服戦において彼らの関係は悪化し、楊僕は他の将軍によって捕らえられ、指揮権を奪われてしまいました。

衛氏朝鮮が征服された後、荀彘との功を巡る争いが起こる中、楊僕は命令違反や兵士の損失について問われることになり、最終的には罪を赦され庶民に戻されましたが、彼の生涯はその後病により終わりを迎えました。楊僕の業績は歴史に強く刻まれており、彼の執念や武勇は今なお多くの人々に語られ続けています。

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