元鼎

元鼎（げんてい）は、中国の前漢時代、武帝によって用いられた5番目の元号です。紀元前116年から紀元前111年までの6年間を指します。それまで前漢では、単に元年、2年、3年と年数を記録していましたが、各年代に固有の名称を設けるべきだという意見が出されました。

そのきっかけとなったのが、宝鼎（ほうてい）と呼ばれる宝器が発見されたことです。この瑞祥を記念して、紀元前116年を「元鼎元年」と定め、さらに過去の年代にも遡って元号を制定することになりました。具体的には、最初の元号を「建元（けんげん）」、2番目を「元光（げんこう）」、3番目を「元朔（げんさく）」、4番目を「元狩（げんしゅ）」と命名しました。

この元鼎の制定によって、中国における元号制度が確立しました。以降、歴代の王朝は元号を定め、政治的な意味合いや吉祥の願いを込めるようになりました。元号は、単なる年号としてだけでなく、皇帝の治世を象徴する重要な要素となっていったのです。

元鼎の時代には、以下の出来事がありました。

2年: 桑弘羊（そうこうよう）が大農丞（だいのうじょう）に任じられ、均輸法（きんゆほう）が実施されました。均輸法は、物価の安定と財政収入の確保を目的とした経済政策です。
3年4月: 常山王（じょうざんおう）劉舜（りゅうしゅん）が薨去（こうきょ）されました。
4年2月: 中山王（ちゅうざんおう）劉勝（りゅうしょう）が薨去されました。
5年4月: 南越国（なんえつこく）で呂嘉（りょか）の乱が発生し、南越国は漢に対して離反しました。
5年秋: 武帝は、路博徳（ろはくとく）と楊僕（ようぼく）を南越征伐のために派遣しました。
6年: 漢軍は南越国を滅ぼし、その領土に南海（なんかい）、蒼梧（そうご）、鬱林（うつりん）、合浦（ごうほ）、交阯（こうし）、九真（きゅうしん）、日南（にちなん）、珠厓（しゅがい）、儋耳（たんじ）の九郡を設置しました。これにより、南越国は漢の支配下に入りました。

以下は元鼎と西暦の対照表です。

元鼎元年: 紀元前116年
元鼎2年: 紀元前115年
元鼎3年: 紀元前114年
元鼎4年: 紀元前113年
元鼎5年: 紀元前112年
元鼎6年: 紀元前111年

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