楊玄感

楊玄感：隋を揺るがした反逆者

楊玄感（よう げんかん）は、隋代の将軍であり、煬帝（ようだい）の高句麗遠征の際に反乱を起こしたことで歴史に名を残しました。彼の反乱は短期間で鎮圧されたものの、その影響は大きく、隋の滅亡、そして唐の成立へと繋がる重要な転換点となりました。

生涯

楊玄感は、隋の重臣であった楊素（ようそ）の子として生まれました。彼の家系は、隋の帝室とは異なる系統の楊氏であり、弘農郡華陰県を本貫とする名族の出身でした。

楊玄感は体格が立派で、美しい髭を持ち、読書を好み、騎射にも長けていました。父の軍功により、柱国の位を授かり、郢州刺史（えいしゅうしし）に任じられます。その後、宋州刺史（そうしゅうしし）に転じましたが、父が煬帝に疑われたため、職を辞しました。父の死後、鴻臚卿（こうろけい）として復帰し、父の爵位である楚国公（そこくこう）を継ぎ、礼部尚書（れいぶしょうしょ）にまで昇進しました。しかし、煬帝に再び疑念を抱かれたため、秦王楊浩（しんおう ようこう）を擁立しようと画策しました。

吐谷渾（とよくこん）遠征から帰還後、煬帝の行宮を襲撃する計画を立てましたが、叔父の楊慎（ようしん）に諫められ、中止しました。

反乱

613年、煬帝の第二次高句麗遠征の際、楊玄感は黎陽（れいよう）で食糧輸送の官に任命されました。しかし、彼は職務を怠り、遂には煬帝に背いて挙兵しました。この反乱により、煬帝の第二次高句麗遠征は頓挫することになります。

楊玄感は、友人であり参謀でもあった李密（りみつ）の意見を聞き入れず、彼が下策と判断した洛陽攻略の方針を選択しました。楊玄感軍は洛陽を攻略できず、衛玄（えいげん）、陳稜（ちんりょう）、屈突通（くつとつう）、宇文述（うぶんじゅつ）、来護児（らいごじ）らの隋軍に包囲されます。洛陽攻略を諦めた楊玄感は、関中方面へ転進しようとしましたが、追撃を受け、董杜原（とうとげん）の戦いで大敗を喫しました。

十数騎にまで兵力を減らし、上洛（じょうらく）へ逃れようとしましたが、葭蘆戍（かろじゅ）において窮地に陥り、弟の楊積善（ようせきぜん）と刺し違えて自害しました。

反乱の影響

楊玄感の反乱自体は、わずか3ヶ月あまりで鎮圧されました。しかし、この反乱を契機として、河南（かなん）・山東（さんとう）を中心に民衆反乱が続発し、隋の支配体制は大きく揺らぐことになります。彼の反乱は、その後の隋の滅亡、そして唐の成立へと繋がる、歴史的なターニングポイントとなりました。

楊玄感の反乱は、一人の将軍の野心に留まらず、当時の社会矛盾が噴出した結果であり、隋の衰退を加速させる大きな要因となりました。

参考

* 『楊玄感』 - コトバンク

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