宇文述

宇文述（うぶん じゅつ）

宇文述（生年不詳 - 大業12年10月6日（616年11月20日））は、隋代の武将・政治家であり、字は伯通と名乗りました。彼の家系は匈奴にルーツを持ち、北周の宇文氏とは異なる系統でした。

生涯

宇文述は、北周において父の軍功により開府に任じられ、宇文護の信任を得て重用されました。武帝が親政を始めると、左宮伯に抜擢され、博陵郡公、後に濮陽郡公に封じられました。

楊堅が丞相となると、尉遅迥の乱鎮圧に参加し、その功績により上柱国に任じられ、褒国公に進みました。隋の建国後、右衛大将軍に任命され、南朝陳の平定戦では行軍総管として活躍しました。この頃から晋王楊広に接近し、その信任を得ていきます。

楊広が煬帝として即位すると、宇文述は左衛大将軍に任じられ、許国公に改封されました。吐谷渾討伐戦では、その軍事的才能を発揮し、多数の捕虜を得て凱旋しました。煬帝の西巡では先触れを務め、朝政にも参与するなど、権勢を誇りました。

しかし、大業8年（612年）の第一次高句麗遠征では、扶余道軍将として参加するも、乙支文徳の策略により大敗を喫し、官爵を剥奪されました。その後、楊玄感の乱鎮圧に貢献し、再び官爵を得ましたが、煬帝の雁門における突厥の包囲からの脱出策が受け入れられず、不遇をかこちました。

大業12年（616年）に江都で病没し、司徒・尚書令・十郡太守の位を追贈されました。

人物

宇文述は、その才覚と煬帝への取り入る姿勢で、隋の朝廷において大きな権力を握りました。しかし、高句麗遠征の失敗や、晩年の進言が受け入れられないなど、必ずしも順風満帆な人生ではありませんでした。その功績と晩年の不遇さは、隋という時代の光と影を象徴していると言えるでしょう。

宇文述の評価

宇文述は、隋の歴史において毀誉褒貶が分かれる人物です。武将としての才能は高く評価される一方で、権勢を笠に着た振る舞いや、高句麗遠征での失態は批判の対象となっています。しかし、その生涯は隋という激動の時代を生き抜いた一人の人物として、後世に語り継がれています。

参考文献

『隋書』巻61 列伝第26「宇文述伝」
『北史』巻79 列伝第67「宇文述伝」

外部リンク

* 会田大輔「「宇文述墓誌」と『隋書』宇文述伝:墓誌と正史の宇文述像をめぐって」

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