業平橋 (芦屋市)

業平橋（なりひらばし）

業平橋は、兵庫県芦屋市を流れる芦屋川に架かる国道2号の橋です。現在の橋は1925年（大正14年）に竣工した2代目で、阪神国道（現在の国道2号）の整備に合わせて架けられました。その歴史的価値から、土木学会選奨土木遺産にも選ばれています。

歴史

江戸時代、芦屋付近では西国街道が「本街道」と「浜街道」に分かれていました。本街道は現在の国道2号、浜街道は国道43号にそれぞれ沿っていました。明治時代に入ると、大阪と神戸を結ぶ重要な交通路として「阪神国道」と呼ばれるようになります。

1915年（大正4年）から1916年（大正5年）にかけて、精道村（現在の芦屋市）は「芦屋川第一次大改修工事」を実施。これに伴い、1917年（大正6年）に木造の初代「業平橋」が現在の場所に架けられました。橋の名前は、芦屋に住んでいたとされる平安時代の歌人・在原業平に由来します。

その後、阪神国道の交通量が増大したため、大正時代には線形改良や道路幅拡張などの大規模な改修工事が行われることになりました。この改築工事に伴い、業平橋も架け替えられることになり、1925年（大正14年）に現在の業平橋（二代目）が竣工しました。橋の中央には路面電車（阪神国道電軌、のちの阪神電気鉄道阪神国道線）の軌道が敷かれ、橋上には芦屋川停留所も設けられました。

しかし、自然災害にも見舞われています。1935年（昭和10年）8月29日の集中豪雨では、業平橋の上まで水が上がりましたが、幸いにも流出は免れました。しかし、1938年（昭和13年）7月の阪神大水害では大きな損傷を受けています。

1974年（昭和49年）に阪神国道線は廃止されましたが、業平橋はその後も芦屋の交通を支え続けています。2012年には、業平橋を含む「芦屋川の文化的景観」が芦屋市の指定文化財（記念物）に指定され、2018年（平成30年）度には土木学会選奨土木遺産に認定されました。

周辺情報

業平橋の東詰下流側には業平公園が整備されており、市民の憩いの場となっています。また、1935年（昭和10年）には橋の下流側の芦屋川沿いにクロマツが、1949年（昭和24年）には上流側の芦屋川沿いにサクラが植樹されました。現在、芦屋川右岸（西岸）の道路には、業平橋から上流（開森橋まで）の両岸の道路に「業平さくら通り」、下流（河口まで）の両岸の道路に「芦屋川松風通り」という愛称が付けられています。

業平橋のすぐ近くには、大正橋（山手幹線）と公光橋（鳴尾御影線）がそれぞれ上流と下流に位置しています。

公共交通機関も充実しており、周辺にはJR芦屋駅、阪神芦屋駅、阪急芦屋川駅があります。その他、芦屋警察署、カトリック芦屋教会、芦屋市民センター、芦屋仏教会館などの施設も近隣にあります。

業平橋は、芦屋の歴史と文化を今に伝える貴重な存在です。周辺を散策しながら、その歴史に触れてみてはいかがでしょうか。

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