極楽寺 (神戸市北区有馬町)

極楽寺：歴史と豊臣秀吉ゆかりの湯殿跡

兵庫県神戸市北区有馬町に佇む極楽寺は、歴史深い浄土宗の寺院です。寂静山伝法院と号し、阿弥陀如来を本尊として祀っています。

伝説と創建から現代まで

極楽寺の創建は、推古天皇元年（593年）に聖徳太子が、鞍作止利作の観音菩薩像を本尊として、杖棄橋の東側に創建したと伝えられています。しかし、承徳元年（1097年）の大洪水で壊滅的な被害を受けます。その後、建久2年（1191年）、有馬温泉復興に貢献した仁西上人に従った河上維清によって、現在地に移転、再興されました。法然上人を招き、「密曾寺山極楽寺」と改称し、念仏の道場として栄えました。後柏原天皇の時代には、「寂静山伝法院極楽寺」と改称されています。

安土桃山時代には、豊臣秀吉が湯治のため、本堂隣に「湯山御殿」を築造。壮麗な建物であった湯山御殿は、江戸時代に解体され、兵庫県三田市にある心月院に移築されましたが、その後焼失。現在、心月院には山門のみが残されています。極楽寺の湯殿跡は埋め立てられ、その上に庫裏が建てられました。

安永3年（1774年）の大火で焼失した極楽寺は、天明2年（1782年）に再建されました。この再建時に建てられた庫裏は、1995年の阪神・淡路大震災で半壊。修理のため解体された際、基礎の下から豊臣秀吉の湯山御殿の遺構が発見されました。瓦や茶器などの出土品と共に、1997年に神戸市史跡に指定され、「神戸市立太閤の湯殿館」として1999年から一般公開されています。

見どころ

境内

本堂: 天明2年（1782年）再建。
庫裏: 天明2年（1782年）再建。
神戸市立太閤の湯殿館: 1999年開設。豊臣秀吉の湯山御殿跡（神戸市指定史跡）の遺構を展示。湯ぶね庭園、蒸し風呂、岩風呂などの遺構や、数多くの出土品を見ることができます。

文化財

神戸市指定史跡: 伝豊太閤湯山御殿跡
厨子: 江戸時代初期、桂昌院（徳川綱吉の母）の寄進。
火除観世音菩薩: 鞍作止利作と伝わる。
橋杭地蔵
二祖対面御影: 法然と善導大師を描いたもの。
厭求上人自画自賛真影: 正徳3年（1713年）。

その他

極楽寺は、有馬郡西国観音霊場の札所でもあります。周辺には、温泉寺、念仏寺、湯泉神社など、歴史的な建造物や観光スポットが点在しています。

アクセス

〒651-1401 兵庫県神戸市北区有馬町1642

神戸電鉄有馬線 有馬温泉駅 徒歩7分
* 六甲有馬ロープウェー 有馬温泉駅 徒歩10分

歴史と自然、そして豊臣秀吉ゆかりの史跡が調和する極楽寺は、有馬温泉を訪れた際にはぜひ訪れたい場所です。

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