楽しい浜べ

楽しい浜べ：トムとジェリーの陽気なマッスルビーチ・バカンス

1956年、シネマスコープで公開された『楽しい浜べ』（原題：Muscle Beach Tom）は、トムとジェリーシリーズの中でも特に陽気で賑やかな作品として知られています。劇場公開時には『鉄腕トム』というタイトルで上映されました。本作は、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラが製作・監督を務め、ケネス・ミューズ、エド・バージ、アーヴン・スペンス、ルイス・マーシャルといった実力派アニメーターたちが作画を担当しています。美しい背景画はロバート・ジェントルによるもので、スコット・ブラッドリーの音楽が作品全体を盛り上げています。

海水浴場マッスルビーチでの騒動

舞台となるのは、ネコたちがウエイトトレーニングに励む海水浴場「マッスルビーチ」。バカンスを楽しむため、トムはガールフレンドである雌猫を誘ってやってきます。しかし、彼らより先にビーチにいたジェリーは、日光浴を邪魔されたことに激怒し、トムとのいつもの激しい追いかけっこが始まります。

この騒動が一段落すると、トムはガールフレンドにアプローチしようとしますが、彼女はすでにマッスルビーチのマッチョなネコ、ブッチに夢中になっていました。トムはブッチと雌猫の奪い合いを始めることになります。

筋肉自慢の対決と風船作戦

トムとブッチは、まずは重量挙げ対決で勝負することに。トムはブッチを上回りますが、無理がたたってバーベルに潰されてしまいます。続いてダンス対決に挑みますが、これもブッチの巧みなダンスに敗れてしまいます。

雌猫は逞しい男性を好むと悟ったトムは、ある作戦を思いつきます。彼はビーチで売られていた風船をくすねて水着に隠し、いかにも筋肉隆々に見せかけようとしたのです。

再び雌猫にアプローチするブッチに、トムは宣戦布告。しかし、風船の筋肉では本物の筋肉には敵わず、劣勢に立たされます。しかし、トムは「火事場の馬鹿力」ならぬ「砂場の馬鹿力」で、風船に結びつけた碇をぶん回し、ブッチをノックアウトします。

ジェリーのいたずらとトムの飛翔

こうして、風船筋肉のトムは雌猫の気を惹くことに成功します。しかし、その幸せもつかの間、ジェリーがセロリをかじる騒音でトムとジェリーの喧嘩が再燃します。そして、ジェリーはトムの風船を膨らませたあげく、割ってしまいます。その結果、風船の浮力で空高く舞い上がったトムは、そのまま空の彼方へと飛んで行ってしまいます。

一方、残された雌猫にジェリーがトマトで作ったミニバーベルで重量挙げを披露しますが、これも無理が祟り、トマトのおもりに挟まれてしまいます。

登場キャラクター

トム: 恋人の雌猫をブッチに奪われ、風船で偽装した筋肉でブッチと対決するも、最後はジェリーにいたずらされ空へ飛んでいく。
ジェリー: 日光浴を邪魔するトムを追い払い、最後は雌猫相手にトマト製バーベルでウエイトリフティングに挑戦するも失敗する。
ブッチ: 雌猫に一目惚れし、トムを追い払って彼女を奪おうとするが、トムの奇策に敗れる。
雌猫: トムとバカンスを楽しむが、ブッチに惹かれ、最後はジェリーと過ごすことになる。
* トレーニングをするネコたち: マッスルビーチでトレーニングに励むネコたち。

日本での放映

日本では、TBS系列などで1964年から1990年頃まで断続的に放映され、多くの視聴者に親しまれました。現在ではDVDにも収録されています。

まとめ

『楽しい浜べ』は、トムとジェリーの定番のコミカルなやり取りに加え、新たなキャラクターが登場し、マッスルビーチという舞台設定が作品に独特の雰囲気を与えています。トムの奇想天外な風船作戦や、ジェリーのトマトバーベルなど、笑えるシーンが満載で、子供から大人まで楽しめる作品と言えるでしょう。

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