概算要求基準

概算要求基準とは

概算要求基準とは、日本の国の予算編成過程において、財務省が各省庁に対して事前に示す予算要求の上限額のことです。別名「シーリング」とも呼ばれます。これは、各省庁が予算要求を提出する際に、この基準を超える要求をできないようにすることで、歳出の無制限な増大を抑制する目的があります。また、国の重点投資分野を内外に示すという役割も担っています。

制度の概要

この制度は、1961年（昭和36年）に「予算概算要求枠」として始まり、1985年（昭和60年）に「予算概算要求基準」と名称が変更されました。その後、1998年（平成10年）には「○○年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針」と、更に名称が変更されています。

年度予算編成の流れは、まず前年度の夏から秋頃にかけて、各省庁が必要な予算額を財務省に「概算要求」として提出します。それを受け、財務省の主計局がこれを取りまとめ、「財務原案」と呼ばれる予算の原案を作成するという手順です。

概算要求基準は、この概算要求の際に、財務省が各省庁に事前に通知する予算上限額を定めたものです。英語の「ceiling（天井・限度）」に由来して「シーリング」とも呼ばれます。この上限額は、経済[[財政諮問会議]]で議論された上で閣議了解を経て決定されます。

シーリングの効果と批判

シーリングは、各省庁や族議員からの過剰な予算要求を抑え、予算支出を制限する効果がありました。しかし一方で、シーリングを盾に各省庁に対して強い影響力を持つ財務省への権力集中を批判する声もありました。

また、補正予算はシーリングの対象外とされていたため、制度の抜け穴として利用されることもありました。

制度の廃止と復活

2009年、鳩山由紀夫内閣は「官僚主導の画一的な予算配分を見直す」として、このシーリングを廃止しました。しかし、その結果として各省庁からの予算要求額が増大するという弊害が生じたため、翌2010年に菅直人内閣がこの制度を復活させました。

関連用語

* 経済[[財政諮問会議]]: 内閣府に設置された、経済財政政策に関する重要事項について内閣総理大臣に答申を行う機関です。


このように、概算要求基準（シーリング）は、日本の予算編成において重要な役割を果たしています。その歴史、制度の変遷、そして廃止と復活という出来事を通して、日本の財政運営における課題や変化を垣間見ることができます。

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