榊原温泉

榊原温泉

三重県津市榊原町に位置する榊原温泉は、その歴史を古代にまで遡る由緒ある温泉地です。かつては「七栗の湯」とも呼ばれ、清少納言の『枕草子』にも「湯はななくりの湯、有馬の湯、玉造の湯」と記された、日本三名泉の一つとして名を馳せてきました。

泉質と効能

泉質はアルカリ性単純温泉で、皮膚病、婦人病、疲労回復などに効果があるとされています。この温泉は、ポンプ技術がなかった時代から湧き出ていたと文献にも記されており、かつては自然湧出していたことがわかります。しかし、現在では、温泉の湧出量が限られているため、すべての温泉施設でポンプを用いて地下から汲み上げています。

温泉街の雰囲気

榊原温泉は、山間の静かな場所に位置し、保養地としての落ち着いた雰囲気が特徴です。歓楽的な要素は少なく、ゆったりと温泉を楽しむことができます。温泉街には猫の涅槃図で有名な林性寺があり、また、2024年には野外テントサウナ施設がオープンし、新たな温泉の楽しみ方を提供しています。

歴史

榊原温泉の歴史は非常に古く、この地が断層地帯にあるため、地下水が湧き出し、古くから霊験あらたかな地として信仰の対象となっていました。平安時代にはすでに湯治場として整っていたとされ、枕草子に記述があることは、格好の宣伝文句となりました。そのため、具体的な開湯伝説は伝わっていないようです。

927年には射山神社が建立され、温泉は「神湯」とも呼ばれるようになりました。江戸時代に入り、伊勢参りが盛んになると、七栗の湯は参拝客の垢離場として利用され、参拝前にこの湯で身を清める習慣が広がりました。地元では、榊原温泉を「宮の湯」と呼び、その神聖さを誇りとしています。また、射山神社は「温泉大明神」として崇められました。

「榊原」という地名は、継体天皇の娘である荳角媛命（ササギヒメノミコト）が斎王として斎宮に入る際、近くに自生していた榊を温泉水に浸し、神宮に祭祀したという伝承に由来します。

なお、開湯当初の泉源はすでに枯渇しており、現在は別の泉源を利用しています。

「ななくりの湯」の諸説

今日では、『枕草子』に登場する「ななくり」の湯は、一般的に榊原温泉を指すと考えられています。しかし、中には別所[[温泉]]や湯ノ峰温泉を指すという説も存在します。『枕草子』の記述だけでは特定が難しいのですが、鎌倉時代後期の歌集『夫木和歌抄』には、「一志の～ななくりの湯」という歌が収録されており、榊原温泉が古くから「ななくりの湯」と呼ばれていたことを裏付けています。

また、榊原温泉は神宮との関わりが深く、特別な湯として尊重されていました。同様に、枕草子に並び称された玉造温泉、有馬[[温泉]]も、天皇家との関係が深く、少彦名命が開湯したという伝承を持つなど、共通点が見られます。

別所[[温泉]]側も、古くこの温泉が七苦離、七久里と呼ばれていたと主張していますが、いつからそう呼ばれていたのかは不明です。別所[[温泉]]が、武家社会と結びつき、寺内町の湯垢離の場として発展した経緯から、清少納言の活躍した平安時代観で宣伝することはイメージに合わず、弘法大師ゆかりの湯として宣伝することが効果的であったと考えられます。

アクセス

• - 近鉄大阪線榊原[[温泉口駅]]より三重交通バスで15分（平日2往復のみ）。
• - 近鉄名古屋線久居駅より三重交通バスで25分～30分（経由地によって変動、データイム30分間隔で運行）。
• - 各旅館より榊原[[温泉口駅]]への送迎バスあり。

関連項目

• - 別所[[温泉]]

外部リンク

• - 榊原温泉振興協会
• - 湯ごりの地：榊原温泉 - Storyで紡ぐたび ～もののあはれ中南勢ものがたり～

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