榎戸洋司

榎戸洋司：性とジェンダー、メタファーが織りなすアニメーションの世界

榎戸洋司（えのきど ようじ）は、1963年生まれの日本のアニメ脚本家、小説家です。京都造形芸術大学（旧・京都芸術短期大学）専攻科を卒業後、日本テレネットに入社し、ネットワークゲームの企画に携わっていました。

彼のキャリアは1994年、幾原邦彦監督作品『美少女戦士セーラームーンS』の脚本家デビューに始まります。高校・大学時代からの友人である幾原氏との出会いが、彼のアニメーション界への進路を決定づけました。その後も幾原氏との協働は続き、『少女革命ウテナ』の制作にも参加。ビーパパスという制作集団の一員として、革新的なアニメーション作品創りに貢献しました。

榎戸氏の脚本の特徴は、性とジェンダーをテーマにした比喩表現の巧みな使いこなしにあります。キャラクター同士の掛け合いを重視し、説明的なセリフを極力排除。代わりに、隠喩や象徴的な表現を用いることで、視聴者にキャラクターの背景や心情を想像させる余地を与えます。この手法は、彼の作品に独特の深みと魅力を与えています。

五十嵐卓哉監督とは、『桜蘭高校ホスト部』『STAR DRIVER 輝きのタクト』『文豪ストレイドッグス』『キャプテン・アース』など、数多くの作品でタッグを組み、素晴らしいシナリオを生み出しました。それぞれの作品において、榎戸氏の脚本は物語に独特の個性と奥行きを与え、高い評価を受けています。

主な作品

彼の作品リストは、アニメーション制作における多様な経験と才能を示しています。テレビアニメ、OVA、アニメ映画、WEBアニメ、さらにはMVの脚本まで、幅広い分野で活躍しています。代表的な作品として、以下のものが挙げられます。

テレビアニメ:
『美少女戦士セーラームーンS』（脚本家デビュー作）
『美少女戦士セーラームーンSuperS』（シリーズ構成、脚本）
『新世紀エヴァンゲリオン』（庵野秀明氏と共同脚本）
『少女革命ウテナ』（シリーズ構成、脚本）
『ラーゼフォン』（脚本）
『円盤皇女ワるきゅーレ』（脚本）
『忘却の旋律』（シリーズ構成、全話脚本）
『桜蘭高校ホスト部』（シリーズ構成、全話脚本）
『のだめカンタービレ 巴里編』（シリーズ構成、全話脚本）
『STAR DRIVER 輝きのタクト』（シリーズ構成、全話脚本）
『キャプテン・アース』（シリーズ構成、全話脚本）
『文豪ストレイドッグス』（シリーズ構成、全話脚本）
『龍の歯医者』（舞城王太郎氏と共同脚本）
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』（シリーズ構成、庵野秀明氏と共同脚本）※時期未定

OVA:
『フリクリ』（全話脚本）
『トップをねらえ2!』（全話脚本）

アニメ映画:
『美少女戦士セーラームーンSuperS セーラー9戦士集結!ブラック・ドリーム・ホールの奇跡』（脚本）
『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』（脚本）
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』（脚本協力）
『REDLINE』（石井克人氏、櫻井圭記氏と共同脚本）
『スタードライバー THE MOVIE』（脚本）
『劇場版 文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』（脚本）

WEBアニメ:
日本アニメ（ーター）見本市「Cassette Girl（カセットガール）」 (脚本)

MV:
AKB48「上からマリコ」（脚本）

小説:
『爬虫類戦記: REPTILANT ARMY』（ゴッホ今泉氏と共同執筆）
『少年王』
『眉毛とボイン』
『フリクリ』（小説版 全3巻）

彼の作品は、アニメーションという枠を超え、小説、作詞など多岐に渡ります。その多才ぶりと、独特の感性で生み出される作品群は、今後も多くのファンを魅了し続けることでしょう。

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