榎本三恵子

榎本三恵子：激動の人生

榎本三恵子（1948年7月4日 - ）は、田中角栄元総理大臣の筆頭秘書官であった榎本敏夫の元妻であり、かつてはタレントとしても活動していました。彼女の人生は、ロッキード事件での証言を機に、激動の道を歩むことになります。

生い立ちと結婚

富山県滑川市で生まれた榎本は、薬の配置販売業を営む家庭で育ちました。高校を中退後、銀座のクラブで働き始め、そこで田中角栄の秘書であった榎本敏夫に見初められます。22歳という年の差を乗り越え、二人は結婚。榎本は総理大臣筆頭秘書官の妻として、華やかな世界に足を踏み入れます。

ロッキード事件と「ハチの一刺し」

1976年、ロッキード事件が発覚。1981年、榎本は東京地裁で開かれたロッキード裁判丸紅ルート公判に証人として出廷し、田中角栄被告の5億円受領を裏付ける証言を行います。この証言は日本中を騒然とさせ、彼女が記者会見で語った「ハチの一刺し」という言葉は流行語にもなりました。

離婚、タレント活動、そして転身

事件後、榎本は夫と離婚。その後、雑誌でのヌード写真披露や、タレント、女優への転身など、世間を騒がせる話題を提供し続けました。長身と美貌も注目を集め、バラエティ番組やテレビドラマに出演するなど、芸能界で活躍します。

実業家への転身と晩年

タレント活動後、榎本は実業家へと転身。銀座でクラブを経営したり、そば屋を開店したりと様々な事業に挑戦します。その後は会社員として働き、芸能界からは距離を置きました。晩年は美容サロンを経営するなど、静かな生活を送っていたようです。

長男・榎本一の逮捕

1999年、長男の榎本一が北区議会議員選挙に立候補したことをきっかけに、22年ぶりに親子は再会を果たします。榎本一は初当選し、後に自民党に移籍しますが、2021年、覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕され、区議を辞職しました。

榎本三恵子の証言が与えた影響

榎本三恵子の証言は、ロッキード事件の真相解明に大きく貢献しました。彼女の勇気ある行動は、社会に大きな衝撃を与え、その後の政治状況にも影響を及ぼしました。しかし、その一方で、彼女自身も様々な困難に直面し、波乱万丈な人生を送ることになりました。

毀誉褒貶

榎本三恵子の人生は、常に賛否両論を巻き起こしました。彼女の証言を支持する人々からは「勇気ある女性」として称賛される一方で、批判的な人々からは「売名行為だ」と非難されることもありました。しかし、彼女の行動が日本の政治史に大きな足跡を残したことは否定できません。

榎本三恵子は、その激動の人生を通して、様々な顔を見せてきました。総理大臣秘書官の妻、事件の証人、タレント、実業家、そして母親。彼女の人生は、日本の現代史を映し出す鏡として、これからも語り継がれていくことでしょう。

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