樋口晶彦

樋口 晶彦

樋口 晶彦（ひぐち あきひこ）氏は、1952年生まれの日本の言語学者および教育学者です。専門分野は、応用言語学、英語教育学、そして外国語教育政策と多岐にわたります。現在は、長らく教鞭をとられた鹿児島大学において名誉教授の称号を持ち、また宮崎国際大学国際教養学部の特任教授として研究・教育活動を継続されています。

経歴

樋口氏は東京国際大学商学部を卒業後、言語学および応用言語学の分野でさらに研鑽を積みました。米国ミシガン大学大学院言語学研究科にて言語学の修士号（M.A.）を取得。さらに英国エジンバラ大学大学院応用言語学研究科でも応用言語学の修士号（M.Sc.）を取得しています。これらの国際的な学びの経験が、その後の日本の外国語教育における実践と研究の基盤となりました。

鹿児島大学においては、教育学部で長年にわたり教鞭をとり、多数の学生を指導しました。また、過去には鹿児島大学附属中学校長も兼任するなど、中等教育の現場にも深く関わっています。現在は同大学の名誉教授として、その功績が称えられています。加えて、宮崎国際大学国際教養学部特任教授として、後進の指導にあたっています。

研究分野と貢献

樋口氏の研究は、日本の学習者、特に英語を母語としない人々に対する効果的な外国語教育法に焦点を当てています。応用言語学の知見を教育現場に応用することを探求し、英語教育学の理論と実践の架け橋となる研究を進めてきました。また、国の外国語教育に関する政策形成やその影響についても分析を行い、日本の教育制度における外国語教育のあり方について提言を行っています。

具体的な研究テーマとしては、リスニングスキルにおけるトップダウンおよびボトムアップ教授法の効果、日本人大学生向け英語ライティング指導におけるプロセス・アプローチとプロダクト・アプローチの比較、日本の大学入試と韓国の大学修学能力試験における読解パッセージの構造分析、文部科学省の「英語教育改善のための行動計画」におけるスーパー英語高校（SELHi）の狙いなどがあります。これらの研究は、国内外の学術誌や会議録で発表されています。

主な論文

Active Listening for Japanese High School Students: Focusing on Top-down and Bottom-up Teaching of Listening Skills, KASELE (The Kyusyu Academic Society of English Language Education), No.26号, pp.41-49 (1998).
Strategies of Second Language Writing for Japanese EFL College Students: Process Approach vs. Product Approach, JACET Annual Review of English Learning and Teaching, Vol.No. 3, pp.13-27 (1998).
A Comparison of Structural Patterns in Reading Passages in the National Center University Entrance Examination in Japan with the College Scholastic Ability Test in Korea, Proceedings of YETA Spring International Conference, Ulsan University (Korea) 2001, (2001).
Aims of the "Action Plan in Japanese English Education:" The Case of Super English Language High Schools (SELHi), Proceedings of KATE 2004 International Conference "English Education from Scio-Cultural Perspectives" Seoul National University, Korea, pp.37-42 (2004).
Lawrence Jyung Zang, Zhou Yan, Min Chan Kyoo, Ikuo Koike, Future Prospects in Language Education in East Asia: the Common Asian Framework of References for Languages in Learning, Teaching and Assessment (CAFR), The JACET International Convention Proceedings , pp.p.22-p.27 (2011).

著作活動

樋口氏は、研究活動に加え、教育現場で実際に活用される教科書や参考書の執筆・編著にも携わっています。特に、中学および高校の文部科学省検定済教科書に関わっていることは、日本の英語教育の現場におけるその影響力の大きさを示しています。専門分野に関する学術書や、特定の目的に合わせた英語学習テキストも多数発表しています。

主な著作

『工学を志す人の工業英語』 江崎秀司との共著、研究社、1995年
『LovEng. English Course I』（文部科学省検定済教科書高等学校外国語） 啓林館、2002年
『Sunshine English Course I-III』（文部科学省検定教科書中学校外国語） 開隆堂出版、2004年
『Catch the Winds of the Day: How to Read the English Articles - 経済が動かす現代社会：記事を英語で理解する』 編著、松柏社、2006年
『21世紀の英語科教育』 編著、島谷浩との共編、開隆堂出版、2007年
『First Aid! English for Nursing - 看護英語への総合的アプローチ』 John Tremarco との共著、金星堂、2013年

学会活動

国内外の主要な学会に所属し、活発な活動を行っています。大学英語教育学会（JACET）では理事、九州・沖縄支部長、評議員、運営委員、紀要査読委員などを歴任し、同学会の運営と発展に貢献しました。また、外国語教育メディア学会（LET）でも九州・沖縄支部での活動や評議員を務めています。この他、日本言語政策学会、日本医学英語教育学会、アジア英語教育学会など、幅広い分野の学会に所属し、研究成果の発表や情報交換を行っています。

主な所属学会

大学英語教育学会(JACET)
外国語教育メディア学会(LET)
日本言語政策学会
日本医学英語教育学会
アジア英語教育学会

樋口晶彦氏は、長年にわたる研究、教育、そして執筆活動を通じて、日本の外国語教育、特に英語教育の発展に多大な貢献をしてきました。その活動は、理論的な探求から教育現場での実践、教科書開発、さらには教育政策への関与に至るまで、非常に広範に及んでいます。

外部リンク

鹿児島大学研究者総覧「樋口晶彦」
鹿児島大学教育学部英語科教員データベース「樋口晶彦」

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