模型雑誌

模型雑誌の歴史と発展

模型雑誌とは、模型に関する情報を提供する雑誌の総称です。一般にホビー誌と呼ばれることもありますが、英語の「hobby」は趣味全般を指すため、模型に限定した表現としては厳密ではありません。2009年以降は、無料のネットマガジン形式の模型雑誌も登場し、情報発信の形態も多様化しています。

戦前

模型雑誌の歴史は、戦前にまで遡ります。1924年に創刊された『子供の科学』では、本間清人が鉄道模型などの製作記事を連載しました。本間は模型用モーターを設計し、これらの材料は通信販売もされていました。また、山北藤一郎も電気機関車に関する記事を執筆しました。同じく誠文堂から発行されていた『科学画報』では、香西健が鉄道模型の記事を掲載し、1/30・35mmゲージを提唱しました。1930年には、模型メーカーである朝日屋が『科学と模型』を創刊。1936年には、鉄道模型専門誌『模型鉄道』が川合模型製作所によって創刊され、会員制による設計図の配布や見学会を実施し、最盛期には500人を超える会員を集めました。しかし、日中戦争の激化により、模型製作は困難となり、1940年には『子供の科学』と『科学画報』が予約制に移行、『模型鉄道』は1943年に廃刊、『科学と模型』も休刊となりました。一方で、模型飛行機は国策として奨励され、『グライダー』『模型航空』『模型』といった雑誌が刊行されました。また、実物雑誌の『航空朝日』や『航空少年』でも、模型飛行機に関する記事が掲載されていました。

昭和20年代

終戦後、出版ブームが起こると、『少年工作』『ラジオと模型』『モデランド』『科学少年』『動く実験室』『鉄道模型趣味』などの模型雑誌が次々と創刊されました。また、『子供の科学』『科学と模型』『科学画報』も復刊されました。しかし、用紙の配給や印刷事情により、雑誌の定期刊行は困難で、合併号となることもありました。ブームの終焉とともに、多くの雑誌が短期間で姿を消していきました。

『少年工作』は1946年に創刊され、1950年に『子供の科学』に統合されました。『ラジオと模型』は1946年に創刊されましたが、1949年に『ロケット』と改題し、航空機関連の記事を掲載するようになりました。『モデランド』は、酒井喜房、田口武二郎、山北藤一郎らが寄稿しており、1949年に『模型少年』に引き継がれました。『科学少年』は、科学の力で未来に希望を持たせるような記事や科学者の伝記、科学小説を掲載していました。『模型とラジオ』は1952年に創刊され、少年向けの工作雑誌として長期間刊行されましたが、1984年に休刊しました。

昭和30年代（プラモデルの登場）

1958年には、日本初のプラモデルが登場しました。特撮テレビ番組『サンダーバード』のプラモデルがヒットし、プラモデルが広く認知されるようになりました。1961年には『航空情報』が『プラモデル読本』を刊行。1963年からは『プラモデルガイド』を毎年発行するようになりました。また、『少年ブック』では「日本プラ模型全集」や「日本プラ模型新聞」が連載されました。1966年には、日本初のプラモデル専門誌『モデルアート』が創刊されました。

模型雑誌のジャンル

模型雑誌は、取り扱う模型の種類によって、以下のように分類できます。

模型総合

特定のジャンルに偏らず、幅広い模型の情報を取り扱う雑誌です。

休刊：『科学と模型』、『模型とラジオ』、『模型と工作』、『モデランド』、『ラジオと模型』

プラモデル誌

プラモデル専門の雑誌です。さらに、取り扱うモデルによって細分化されています。

総合：『モデルグラフィックス』
キャラクターモデル総合：『月刊ホビージャパン』
スケールモデル総合：『モデルアート』、『スケールモデルファン』
軍用車両：『アーマーモデリング』、『パンツァーグラフ』、『ミリタリーモデリングマニュアル』
航空機：『スケールアヴィエーション』、『M-cat』
艦船：『ネイビーヤード』、『艦船模型スペシャル』
自社広報誌：『タミヤニュース』
休刊：『電撃スケールモデラー』、『マスターモデラーズ』、『模型情報』、『B-CLUB』、『レプリカ』

無料ネットマガジン

インターネット上で配信される無料の模型雑誌です。

スケールプラモデル総合：『webモデラーズ』
キャラクターモデル総合：『電撃ホビーウェブ』

ラジコン誌

ラジコンカーやラジコン飛行機に関する情報を取り扱う雑誌です。

R/Cカー：『ラジコンマガジン』、『RCワールド』
航空機：『ラジコン技術』、『RCFan』、『RCエアワールド』
休刊：『ラジコン専科』、『SEA & SKY』、『ラジコンカースポーツ』、『Uコン技術』、『モデルジャーナル』

鉄道模型誌

鉄道模型に関する情報を取り扱う雑誌です。

鉄道模型全般：『鉄道模型趣味』、『RM MODELS』、『とれいん』、『トレインモデリングマニュアル』
Nゲージ専門：『N.』
休刊：『模型鉄道』

自動車模型誌

自動車模型やミニカーに関する情報を取り扱う雑誌です。

『モデル・カーズ』、『カーモデリングマニュアル』、『ミニカーファン』、『F1モデリング』、『ミニカーマガジン』
休刊：『モデルスピードライフ』

ガレージキット

ガレージキットに関する情報を取り扱う雑誌です。

『レプリカント』、『フィギュアマニアックス乙女組』

玩具、フィギュア

玩具やフィギュアに関する情報を取り扱う雑誌です。

『フィギュア王』、『ハイパーホビー』、『宇宙船』

注釈

模型雑誌は、模型業界の動向や新製品情報を知る上で重要な情報源です。また、模型製作のノウハウやテクニックを学ぶための教材としても活用されています。これらの雑誌は、模型愛好家にとって欠かせない存在です。

参考文献

日本プラモデル工業協同組合編『日本プラモデル50年史 : 1958-2008』、日本プラモデル工業協同組合 、2008年、129-133頁
日本の模型75年史編集委員会『日本の模型 業界75年史』東京都科学模型教材協同組合、1986年
若松征男「空前絶後の科学雑誌ブーム」『通史 日本の科学技術』1巻、 学陽書房、1995年、338-348頁
石坂善久「鉄道模型少年の夢の本棚」『おとなの工作読本』No.2、誠文堂新光社
小林健二「航空模型少年の夢の本棚」『おとなの工作読本』No.3、誠文堂新光社

関連項目

* 日本模型新聞 - ジートッププレスが発行する、日本の模型業界の専門紙。

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