権兵衛トンネル
権兵衛トンネルについて
権兵衛トンネルは、国道361号の一部を構成し、長野県塩尻市と上伊那郡南箕輪村（飛地）を結ぶ、全長4,467メートルの長大トンネルです。木曽山脈を貫通するこのトンネルは、かつて冬期には通行止めとなっていた権兵衛峠（経ヶ岳林道）に代わり、伊那地域と木曽地域を結ぶ重要な交通路となっています。
建設の背景と経緯
従来の権兵衛峠は、道幅が狭く落石も多発する難所であり、車のすれ違いも困難でした。このため、地域住民は長年、安全で安定した交通路を求めていました。権兵衛トンネルの開通は、この長年の課題を解決し、有料道路並みの高規格道路を実現しました。総事業費は約700億円にのぼりますが、通行料は無料です。
このトンネルは、中央自動車道の通る伊那市と国道19号の通る木曽郡木曽町を結ぶ地域高規格[[道路]]、伊那木曽連絡道路の主要プロジェクトとして位置づけられています。1993年に工事が開始され、当初は2002年度の開業を目指していましたが、もろい地質などの影響で難工事となり、2003年11月10日にようやく貫通、2006年2月4日に供用が開始されました。
トンネル開通の効果
予想を上回る難工事により建設費は当初の予定を大幅に超過しましたが、トンネルの開通は伊那・諏訪地域と木曽地域間の移動時間を大幅に短縮し、通勤、買い物、観光など、地域住民の生活圏に大きな変化をもたらしました。また、貨物車両の物流もより円滑になり、経済活動の活性化にも貢献しています。さらに、東京方面への移動においても、従来の塩尻IC経由に代わり、このトンネルを経由するルートが利用されることが増え、所要時間の短縮効果も出ています。
トンネルの構造と特徴
伊那側の入口標高は1,062メートル、木曽側の入口標高は1,162メートルで、木曽側から伊那側にかけてわずかな下り勾配があります。工事の際に大量の湧水が発生したため、トンネル本坑の南側には、水抜き坑が先行して掘削されました。この水抜き坑は現在も残っており、避難坑として利用され、本坑とは連絡通路で結ばれています。また、本坑の内部北側には、車道よりも一段高い通路が設けられており、歩行者も通行可能です。トンネル内部の中央付近には換気用の横穴があり、通路の一部が階段状になっています。
利用上の注意
トンネルとその前後の道路は、一般道でありながら高速道路に近い高規格道路であるため、法定速度を大幅に超過して走行する車両が見られます。そのため、長野県警交通機動隊や塩尻・伊那両警察署によるスピード違反の取り締まりが頻繁に行われています。国道361号が接続する国道19号も速度が出やすい路線として知られており、中央自動車道を利用しないトラックなどの走行経路となっているため、夜間は大型車の通行が多い状況です。
名前と歴史
トンネルの名称は、谷が狭く水田が少なかった木曽谷の米不足を解消するため、伊那と木曽を結ぶ最短ルートである急峻な「鍋掛峠」の大改修に尽力した牛方、古畑権兵衛にちなんで名付けられました。
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