権杖

権杖（けんじょう）についての解説

権杖は、正教会や東方諸教会において、主教が奉神礼の際に使用する特別な杖です。ロシア語では「ジェーズル」とも呼ばれ、形状は主にT字型で、十字架を頂いたデザインが一般的です。また、『民数記』の物語に由来し、モーセが掲げた青銅の蛇をモチーフにしたものも存在します。この権杖は、教区を統治する主教の権威を示すものであり、その歴史や信仰に深く根差した存在です。

権杖の由来としては、羊飼いが用いる杖にその起源があるとされ、主教は信徒を守り導く牧者としての役割を果たします。信徒は羊に喩えられ、権杖は主教がその羊たちを守り、正しい道へと導く象徴となります。教会において、主教は教会の信徒を養い、精神的な指導を提供する存在であり、その姿を具現化したのが権杖なのです。

新たに叙聖された主教は、祭服を聖体礼儀中に受け取りますが、権杖はその後に授与されます。この儀式では、神品機密の重要性が強調され、主教職の重みが説かれた後に権杖が与えられます。これは、新主教が権杖を通じて信徒を祝福し、支え合う関係が構築されるきっかけとなります。実際に権杖を手にすることで、主教は信徒の生活に対してより深い配慮を行い、彼らの信仰を助ける役割を果たすことが期待されます。

奉神礼の中では、主教が常に権杖を持っているわけではなく、堂役がその役割を代行することも多いです。このように、権杖の扱いは細心の配慮がなされ、その意義を伝える重要な要素となります。つまり、権杖は単なる祭具ではなく、教会の信仰とコミュニティの結びつきを象徴するものなのです。

関連項目

権杖に関連する他の重要な道具として、カトリック教会における司教杖や、聖公会の牧杖（パストラルスタッフ）が挙げられます。これらの杖は、それぞれの教派において異なる形状を持ち、役割を果たしています。また、正教会の主教や修道士が着用するクロブークや、モスクワ総[[主教]]などが用いるクーコリも、教会の伝統や儀式の中で重要な役割を果たしています。

外部リンク

権杖の詳細については、「オルレツとヂェーヅル - 正教会の祭服より」という連載記事を参照してください。ここでは、権杖の使用方法やデザインに関する情報が詳しく紹介されています。

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