権現山古墳 (小美玉市)

権現山古墳：霞ヶ浦を望む大型前方後円墳

権現山古墳は、茨城県小美玉市下玉里に所在する、小美玉市内で最大規模を誇る前方後円墳です。権現平古墳群の一つであり、権現平5号墳とも呼ばれています。霞ヶ浦を見渡せる台地の縁辺に位置し、その立地から、霞ヶ浦沿岸地域を支配した有力な首長の墓であると考えられています。

発掘調査と史跡整備

玉里村（現小美玉市）が推進した玉里村総合文化センターおよび文化ゾーン構想の一環として、権現山古墳の史跡整備が行われることになりました。それに先立ち、1996年（平成8年）9月から1997年（平成9年）2月にかけて、明治大学を中心とする調査団によって発掘調査が実施されました。

規模と形状

権現山古墳は、墳丘長が89.5メートル、後円部の直径が44.65メートル、前方部の幅が59.4メートルという規模を誇ります。墳丘の周囲には盾型の周溝が巡らされており、周溝を含めた全長は123メートルに達します。市内にある舟塚古墳と同程度の規格で、舟塚古墳を約1.2倍に拡大した規模に相当します。

埋葬施設

権現山古墳の埋葬施設は、後円部墳頂と前方部墳頂の2箇所に存在していたと考えられています。しかし、後円部墳頂は大幅に削平されており、石棺が存在したと思われる埋葬施設も、基礎部分に至るまで破壊されていました。一方、前方部墳頂は木棺直葬であったと推測されていますが、明治時代以降に設置された一等三角点と、その測量に使用された櫓の基礎によって、形状や規模を正確に確定することができていません。

出土品

前方部の平坦面からは、大刀1振と鉄鏃30本が出土しました。また、造り出しからは、土師器、須恵器、円筒埴輪、形象埴輪（馬、人物、短甲）などがまとまって出土しています。特に注目されるのは、出土した須恵器の中に筒型器台が含まれていることで、これは東日本では数少ない出土例として貴重です。

まとめ

権現山古墳は、その規模や出土品から、古墳時代におけるこの地域の有力者の勢力を示す貴重な遺跡です。今後の研究によって、当時の社会や文化、交流などをさらに詳しく知ることができると期待されています。

参考文献

玉里村教育委員会『玉里村権現山古墳発掘調査報告書』玉里村、2000年3月。
石巻文化センター『東日本の古墳時代-弥生から古墳へ-』宮城県石巻市、2001年6月15日、21頁。https://sitereports.nabunken.go.jp/ja/21439。

関連項目

* 日本の古墳一覧

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