権藤晋

権藤 晋（ごんどう すすむ）

権藤晋（本名：高野慎三）は、日本の著名な編集者、出版社の経営者、随筆家、漫画評論家、映画評論家、さらに文具店を営む実業家として広く知られています。1940年に東京で生まれ、特に漫画家のつげ義春に対する強い理解者として知られています。彼は数多くのつげの作品を世に送り出すために尽力し、その結果、漫画界における重要な存在となっています。彼が主催する北冬書房では、漫画と映画に関する多彩な出版を行い、文化的な影響を与え続けています。

略歴

権藤は1940年に東京市渋谷区で寿司屋の三男として誕生しました。1963年に明治大学政治経済学部を卒業し、その後書評紙『日本読書新聞』に入社しました。1966年には青林堂へ移籍し、月刊漫画『ガロ』の編集に携わります。ここで彼はつげ義春をはじめとする個性的な漫画家たちの作品を世に紹介し、同誌の黄金期を創出しました。また多くの新人漫画家の発掘にも尽力しました。

1967年には『漫画主義』というマンガ研究雑誌を創刊し、漫画界の現状を憂い、さらなる漫画の発展を求めることになります。しかし、権藤が「ガロ」の編集方針を強く支持する中で、他の著名マンガ家たちから厳しい批判を受けることもありました。こうした経歴の中で、1971年に青林堂を退社し、北冬書房を設立しました。

つげ義春との関係

権藤は、つげ義春に対して特に強いシンパシーを抱いており、彼の作品が持つ独特の世界観を広めるために尽力しました。大学でつげの作品に接し、衝撃を受けた権藤は青林堂に入社し、つげに自らの作品を描いてもらうために全力を尽くしました。最終的には権藤のサポートによって、つげはその後『ガロ』に頻繁に新作を発表するようになり、権藤はその活動を支える重要な存在となっていきました。

また、権藤はつげ作品の誤植として知られる「メメクラゲ」のエピソードでも名を馳せています。これは『ガロ』において、つげ義春の作品「ねじ式」の誤植が生じたことから生まれたもので、後にそれが流行語となる等、記憶に残る出来事となりました。

出版活動と映画

権藤の設立した北冬書房では、漫画だけでなく映画についての研究誌も出版し、ユニークな出版活動を展開しました。『夜行』という雑誌は、彼が創刊したものであり、つげ義春や林静一、鈴木翁二などの著書を多く刊行しました。また、『夜行』が終了した後も、権藤は新たな雑誌『幻燈』を創刊し、現在でも刊行が続けられています。

さらに、権藤は映画にも関与し、竹中直人監督の『無能の人』や石井輝男監督の複数の作品に出演しており、映画や漫画に対する彼の情熱は多岐にわたっています。

人物像

権藤は独特な視点を持ち、漫画界において変革を志向する姿勢を持っていることで知られています。彼の活動は、日本の漫画文化にとって重要な要素であり、つげ義春との深い関係性は、彼の創造的な取り組みの一環として評価されています。権藤晋は今日の日本の漫画界において、欠かせない人物であり続けています。

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