横浜公園

横浜公園は、神奈川県横浜市中区に位置する公園であり、その歴史は横浜の開港期にまで遡ります。この地は、かつて港崎遊廓として知られていましたが、1866年の大火によって焼失し、その後、遊郭は現在の羽衣町方面に移転しました。明治維新後の1872年、神奈川県令の陸奥宗光は、この遊郭跡を遊園地として整備することを決定しました。

1874年、土木技師リチャード・ブラントンの設計により、遊郭跡地に公園が建設され、公園から港に向かう新たな道路も整備されました。この時、横浜公園と日本大通りが誕生しました。さらに馬車道や海岸通りも整備され、関内は日本大通りを境に、北西側が日本人居住地、南東側が外国人居留地となっていましたが、この公園は外国人と日本人が共同で利用できる公園として、「彼我公園」と呼ばれていました。

1878年には、公園中央にクリケットグラウンドが設けられ、外国人スポーツクラブが利用していました。この地では、1896年に日本初の野球の国際試合が開催され、1901年には日本初のラグビー国際試合も行われました。1899年の居留地制度廃止に伴い、公園は横浜市に返還され、1910年には公園の改修が行われ、中央のクリケットグラウンドが姿を消し、公園南東隅に野球場が建設されました。

1921年には、園内に横浜市立図書館の仮閲覧所が開設されましたが、1923年の関東大震災で焼失。その後再建されましたが、1927年には野毛坂に移転しました。関東大震災では、横浜公園は避難所として利用されたほか、焼失した官公庁の仮庁舎も置かれました。復興工事は1925年に始まり、1929年に完了しました。この工事で、公園南東隅に野球場、北西隅に野外音楽堂が建設されました。昭和天皇も復興状況を視察されています。

太平洋戦争後、公園の一部はアメリカ軍に接収され、施設が利用されました。接収解除後、野球場は「平和球場」と改称され、多くの親善交流試合が行われました。1958年には、公園内に横浜公園体育館が完成しましたが、1978年に老朽化した施設を取り壊し、横浜スタジアムが建設されました。同時に、日本庭園や水場をあしらったモニュメント広場も整備され、公園は新たな姿に生まれ変わりました。

1997年、チューリップが横浜市中区の区花に指定されたことを機に、公園にはチューリップが植えられ、春には「チューリップの咲く公園」として親しまれるようになりました。2017年には、大規模なチューリップガーデンが公開され、多くの人々を魅了しました。また、横浜公園は文化財登録原簿に登録され、近代化産業遺産にも認定されています。

現在の横浜公園には、横浜スタジアム、日本庭園「彼我庭園」、水の広場などが整備されており、市民の憩いの場として活用されています。また、JR根岸線関内駅から徒歩5分と交通アクセスも良好です。公園内には、様々な歴史が刻まれており、その変遷は横浜の歴史と深く関わっています。

横浜公園は、過去にはアメリカ軍に接収されたり、火災や震災に見舞われたりと、様々な困難を乗り越えてきました。しかし、そのたびに復興を遂げ、市民に愛される場所として現在に至っています。また、日本のスポーツ史においても、重要な役割を果たしてきた公園です。野球やラグビーの国際試合が初めて行われた場所であり、スポーツの歴史を語る上でも欠かせない存在です。

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