横浜航空そよかぜ号墜落事故

横浜航空そよかぜ号墜落事故

1972年5月30日、北海道で発生した横浜航空そよかぜ号の墜落事故は、日本の航空史に残る痛ましい出来事です。この事故は、地方航空路における安全運航の重要性を改めて認識させる契機となりました。

事故の概要

横浜航空は、当時、北海道内の自治体からの補助を受け、道内のローカル路線に不定期便を運航していました。事故を起こした「そよかぜ号」は、セスナ402A型双発レシプロ機で、紋別空港（現在の空港とは別の場所）を午前9時7分に離陸し、札幌飛行場（丘珠空港）へ向かう予定でした。

当日のフライトは有視界飛行方式で実施され、午前9時42分には滝川市上空を通過したことを札幌飛行場の管制塔に報告していました。しかし、その直後、通信が途絶え、機体は消息を絶ってしまいます。

捜索と発見

通信途絶後、北海道警察と自衛隊による大規模な捜索活動が開始されました。その結果、同日午後1時40分頃、自衛隊のヘリコプターが、札幌飛行場から北東約40km離れた樺戸郡月形町の分監山山頂付近に墜落した機体を発見しました。残念ながら、機体に搭乗していた乗客8名と乗員2名、計10名全員の死亡が確認され、遺体は夕方までに収容されました。

事故原因の推定

事故の原因については、飛行中に遭遇した局地的な悪天候と、機長が飛行ルートの地形を十分に把握していなかったことが複合的に影響したと推定されています。機長は悪天候下で視界を失い、地形を十分に認識できないまま飛行を続けた結果、機体が山腹に衝突してしまったと考えられています。

事故の影響

この事故は、航空会社の安全管理体制の甘さを露呈するとともに、パイロットの技量や判断力の重要性を改めて認識させるものでした。また、地方路線における気象情報や地形情報の提供体制の整備が急務であることが浮き彫りとなりました。

事故後、横浜航空は1974年に日本近距離航空（後にエアーニッポンを経て全日本空輸に合併）に吸収合併されました。この事故は、航空業界全体に大きな衝撃を与え、その後の航空安全対策の見直しに繋がる重要な教訓となりました。


この悲劇を二度と繰り返さないためにも、航空安全に対する意識を常に高く持ち続けることが不可欠です。

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