横浜道

横浜道（よこはまみち）

横浜道は、1859年の横浜開港に際し、東海道と横浜港を接続するために、現在の横浜市西区と中区にかけて建設された街道です。開港を目前に控えた時期に、急ピッチで建設されたこの道は、当時の横浜の発展に大きく貢献しました。

開港と街道建設の背景

1858年に日米修好通商条約が締結され、翌年には神奈川の開港が決定しました。しかし、徳川幕府は東海道の要所であった神奈川宿に異国人が流入することを警戒し、神奈川宿の対岸に位置する横浜村（現在の関内付近）を開港の地と定めました。幕府は、横浜を神奈川の一部と主張することで、この措置を正当化しようとしました。

しかし、当時の神奈川と横浜の間は、交通の便が非常に悪い状況でした。帷子川や大岡川の河口部は埋め立てられていましたが、まだ湿地帯が広がり、野毛山の東側はすぐに海に面していました。そのため、まともな道がなく、陸路で移動するには程ヶ谷宿から井土ヶ谷を大きく迂回する必要がありました。このような状況下で、幕府は神奈川と横浜を最短距離で結ぶ新しい道を建設することを決定しました。

街道のルートと建設

横浜道のルートは、神奈川宿と程ヶ谷宿の間にある芝生村（現在の西区浅間町付近）から、当時の海岸線に沿って進むものでした。具体的には、新田間橋、平沼橋（現在の元平沼橋）、石崎橋（現在の敷島橋）などの橋を架け、戸部村から野毛山を越える「野毛の切通し」を設け、さらに野毛橋（現在の都橋）、太田橋（現在の吉田橋）を渡り、現在の馬車道付近を通って横浜港に至るものでした。

この大規模な工事は、開港のわずか3ヶ月前に開始され、施工主の勘七と工事監督の苅部清兵衛（程ヶ谷宿本陣）らの尽力によって、突貫工事で進められました。その結果、開港の前日、ようやく横浜道は開通しました。

開通後の利用と現在

開通後の横浜道は、1869年には下岡蓮杖によって吉田橋から築地までの乗合馬車の運行が開始され、交通路としての役割を果たしました。1872年には新橋と横浜を結ぶ鉄道が開通しましたが、道路としての重要性は依然として高く、多くの人々に利用されました。

現在、横浜道の一部は新横浜通りや横浜駅根岸道路などの幹線道路として、現代の交通を支えています。当時の面影を完全に残してはいませんが、この道は横浜の歴史と発展を語る上で、非常に重要な存在です。

まとめ

横浜道は、幕末の開港という歴史的な出来事を背景に、短期間で建設された街道です。当時の地形的な制約を克服し、横浜の発展に貢献したその道のりは、現代にもその一部が主要道路として引き継がれています。横浜の歴史を語る上で、横浜道は欠かせない存在と言えるでしょう。

参考文献

横浜道（横浜市西区ホームページ）
横浜道 古道を行く
よこはま歴史の道 - ウェイバックマシン（2019年3月30日アーカイブ分）
“公共工事丸投げ、幕末も 横浜開港のドタバタ、古文書に”. asahi.com (朝日新聞社). (2009年7月1日). オリジナルの2009年7月4日時点におけるアーカイブ。

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