横瀬古墳

横瀬古墳について

横瀬古墳（よこせこふん）、別名横瀬大塚山古墳は、鹿児島県曽於郡大崎町横瀬に位置する、古墳時代中期に築造された前方後円墳です。この古墳は、鹿児島県内では2番目の規模を誇り、その歴史的価値から国の史跡にも指定されています。

古墳の概要

横瀬古墳は、志布志湾から西に位置する標高6メートルの水田地帯に築かれています。古墳の形状は前方後円墳で、前方部が南西方向を向いています。墳丘長は約137メートルにも達し、鹿児島県内では唐仁大塚古墳に次ぐ規模です。墳丘からは、円筒埴輪や盾形埴輪などの形象埴輪が発見されており、埴輪を伴う古墳としては日本最南端に位置します。墳丘の周囲には周濠が巡らされており、その幅は12～23メートル、深さは1.5メートルです。周濠を含めた古墳の全長は160メートルに及びます。さらに、周濠の外側には外濠も確認されています。

埋葬施設は竪穴式石室で、後円部の墳頂に露出しています。この石室からは、かつて鉄器などの出土品があったと伝えられています。また、須恵器（加耶系陶質土器や陶邑産須恵器）も出土しています。古墳の周囲には、かつて古墳群が存在したと考えられており、それらの古墳は横瀬古墳の陪塚であった可能性も指摘されています。

古墳の築造時期と特徴

横瀬古墳は、墳形、埋葬施設、出土品などから、古墳時代中期、5世紀中葉から後半頃に築造されたと推定されています。南九州地方においては、西都原古墳群の男狭穂塚古墳、女狭穂塚古墳に続く盟主墳と位置づけられています。さらに、この古墳は海岸部に築造された「海浜型前方後円墳」であり、当時のヤマト王権と南西諸島や朝鮮半島との交流を物語る上で重要な存在です。

古墳の歴史

横瀬古墳は、江戸時代からその存在が知られており、文政7年（1824年）の『大崎名勝誌』や天保14年（1843年）の『三国名勝図会』にも記述が見られます。明治時代には盗掘の被害に遭いましたが、1943年（昭和18年）には国の史跡に指定され、保護されることとなりました。その後、何度か発掘調査が行われ、古墳の全容解明が進められています。

墳丘の規模

2010-2011年度の調査では、墳丘の規模が以下のように計測されています。

古墳総長: 192メートル
墳丘長: 137メートル
後円部直径: 80メートル
くびれ部幅: 58メートル
前方部最大幅: 88メートル

古墳は傾斜面に位置しているため、後円部が前方部よりも約1メートル高く築造されています。また、後世の削平により竪穴式石室が露出していることから、元々の後円部はさらに高かったと推測されています。

文化財としての価値

横瀬古墳は、1943年（昭和18年）9月8日に国の史跡に指定されています。この古墳の出土品は、大崎町中央公民館郷土資料展示室、鹿児島県立博物館、鹿児島県歴史資料センター黎明館、鹿児島県立埋蔵文化財センターなどで保管・展示されています。これらの施設を訪れることで、横瀬古墳の歴史と文化に触れることができます。

関連施設

大崎町中央公民館 郷土資料展示室：出土した埴輪などを保管・展示
鹿児島県立博物館：出土した埴輪などを保管・展示
鹿児島県歴史資料センター黎明館：出土品などを保管
鹿児島県立埋蔵文化財センター：出土品などを保管

参考文献

史跡説明板（大崎町教育委員会設置）
鹿児島県発行の資料「横瀬古墳」
鹿児島県上野原縄文の森発行の資料「横瀬古墳」
大崎町「広報おおさき」掲載記事「横瀬古墳とヤマト王権」
大崎町教育委員会発掘調査報告書『横瀬古墳』


これらの情報を総合すると、横瀬古墳は南九州地方における古墳文化を理解する上で非常に重要な遺跡であり、その保存と研究が今後も求められます。

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