横田城 (陸奥国)

横田城（護摩堂城）：遠野の歴史を刻む城郭

横田城、別名護摩堂城は、岩手県遠野市に位置する日本の城です。その跡地は、遠野市の歴史と文化を伝える貴重な遺産として「遠野遺産」に認定されています。

城郭の概要

横田城は、かつての陸奥国閉伊郡遠野保に存在し、鎌倉時代から戦国時代にかけて阿曽沼氏の居城として利用されました。護摩堂山に築かれ、両側を沢で囲まれた扇状地という地形を利用し、猿ヶ石川に面した緩やかな斜面に位置しています。城跡には、300メートル×200メートルの広さを持つ台地に、幅の広い空堀が当時の面影を今に残しています。

城下には家臣たちの屋敷が配置され、一日市のような市場も開かれていたと考えられています。このことから、横田城が単なる軍事的な拠点ではなく、地域の経済や文化の中心地としての役割も担っていたことが伺えます。

歴史と変遷

横田城の創建については、文治5年（1189年）または建保年間（1213年 - 1219年）に、阿曽沼広綱の次男である親綱が護摩堂山に築いたという伝承があります。しかし、正確な築城年代は判明していません。

城の前面を流れる猿ヶ石川は、度々洪水を引き起こし、対岸に住む家臣たちの往来に支障をきたしていました。そのため、阿曽沼氏は鍋倉山に新たに城を築き、居城を移しました。横田城は、天正年間（1573年-1593年）に放棄されるまでの数百年もの間、遠野地区における政治の中心地として機能しました。

鍋倉山に城が移された際、新しい城は鍋倉城、あるいは旧居城の名前を受け継ぎ横田城とも呼ばれました。

現在の状況

現在、横田城跡は往時の姿を偲ぶよすがとして、土塁や空堀などが残っています。訪れる人々は、これらの遺構を通して、かつての城の規模や構造を想像することができます。また、城跡からは遠野盆地を一望でき、その眺望は訪れる人々を魅了します。

横田城は、遠野の歴史を語る上で欠かせない史跡であり、地域の文化遺産として大切に保存されています。

参考資料

児玉幸多、坪井清足『日本城郭大系 第2巻 青森・岩手・秋田』新人物往来社、1980年7月15日。
「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 3 岩手県』角川書店、1985年3月8日。ISBN 4-04-001030-2。
遠野市 2010『遠野遺産公式ガイドブック』p.5

関連項目

遠野城下町資料館
日本の城一覧
横田城 - 同名の城郭
護摩堂城 - 同名の城郭

外部リンク

岩手県庁
* （岩手県庁）いわての文化情報大辞典

もう一度検索