横田村詮

横田村詮（よこた むらあき）

生涯

横田村詮は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将です。伯耆国米子藩の執政家老として知られています。出自については不明な点が多く、阿波国三好氏の一族で、三好康長の甥にあたるとも言われています。若くして三好康長に仕え、その嫡男である徳太郎（康俊）の補佐役を務めました。

三好氏の滅亡後、天正11年（1583年）には、豊臣秀吉の家臣である中村一氏に召し抱えられました。中村一氏の妹を妻に迎え、身内として重用され、天正18年（1590年）には一氏が駿府城主となると、これに同行しました。駿府では、検地や交通路の整備、土木工事など、様々な施策で実績を上げました。

秀吉の死後、関ヶ原の戦いにおいて、病に伏せていた中村一氏は、嫡男・一忠の将来と中村家の存続を願い、村詮の進言を聞き入れ、徳川家康に味方することを決断しました。関ヶ原の戦いの後、慶長5年（1600年）11月、家康は、11歳の一忠を17万5千石の米子城主に任命し、村詮は一忠の後見役および執政家老として米子に派遣され、6,000石を与えられました。

米子では、一忠のために五重の天守を持つ米子城を築城しました。また、城下町の建設にも尽力し、藩内各地から民衆を移住させ、職業別の居住区を設けるなど、現在の米子市の基礎を築きました。加茂川を外堀とする一方で運河として整備し、物資の大量輸送を可能にするなど、その才覚を発揮しました。

しかし、村詮の活躍を妬む一忠の側近、安井清一郎と天野宗杷は、村詮を陥れようと陰謀を企て、若年の一忠を甘言で操りました。慶長8年（1603年）11月14日、14歳の一忠は催した慶事の席で、村詮を殺害しました。村詮は享年52歳でした。

村詮の子（または弟）である主馬助と柳生宗章は、この事件に反発し、飯山に立てこもりましたが、一忠は隣国出雲の領主である堀尾吉晴・忠氏親子に助勢を求め、これを鎮圧しました。事件の報告を受けた徳川家康は、村詮の殺害に激怒し、首謀者である安井清一郎と天野宗杷を即刻切腹させました。また、事件を阻止できなかった道上長衛門、道上長兵衛も江戸で切腹を命じました。一方、一忠は品川宿での謹慎処分となり、お咎めなしとなりました。

信仰

村詮は、20歳の頃に三好康俊に付き添い、堺の妙国寺で行われた彼岸談義に参詣し、日蓮宗の熱心な信者となりました。米子では、妙興寺の開山である日逞と親交を深め、同寺に酒盃や寺領を寄進し、開基檀越として遇されました。村詮は、この縁により妙興寺に葬られ、現在も同寺に墓があります。妙興寺には、村詮が拝領した鳳凰絵盃や画像、位牌などが残されています（米子市文化財）。

関連作品

テレビドラマ
功名が辻（2006年、演：山田百貴）
漫画
柳生宗章～秘剣 逆風の太刀～（2013年、作画：藤原芳秀、シナリオ：増田貴彦）

もう一度検索