横須賀町 (愛知県)

愛知県知多郡横須賀町の歴史と文化

横須賀町は、現在の愛知県東海市南部に位置し、かつて知多郡に存在した町です。その歴史は古く、江戸時代には尾張徳川家の別邸が築かれるなど、地域の中心として栄えました。ここでは、横須賀町の歴史、文化、そして過去の災害に関する記録を詳細に解説します。

横須賀の始まり

現在の東海市横須賀町及び高横須賀町周辺は、古くは横須賀村という名称でした。その中でも伊勢湾に面した浜辺は「馬走瀬（まはせ）」と呼ばれていました。

1666年（寛文6年）、尾張徳川家2代当主である徳川光友が潮湯治のために別邸（横須賀御殿）を築いたことが、横須賀の発展のきっかけとなりました。御殿の建設に伴い、周辺地域が整備され、馬走瀬には碁盤割りの町並みが造成されました。

1675年（延宝3年）には、この碁盤割の町並みが馬走瀬から濱横須賀へと改称されました。また、同時期に横須賀村の本郷は上ゲ横須賀（あげよこすか）と呼ばれるようになりました。

江戸時代の変遷

1715年（正徳5年）、嵐により横須賀御殿の建物が大きな被害を受け、復旧が困難となったため取り壊されました。ただし、海を臨む建物「御亭（おちん）」は残され、御亭および御殿の敷地は藩主の宿泊・休憩施設として江戸時代を通じて利用されました。（御亭は明治初年に嵐により倒壊しています。）

1752年（宝暦2年）頃までには、濱横須賀が町方（又は横須賀町方）とも呼ばれるようになり、1779年（安永8年）頃までには、上ゲ横須賀が高横須賀とも呼ばれるようになりました。また、町方が単に横須賀と呼ばれるようにもなりました。

1783年（天明3年）には、横須賀御殿跡地に知多郡の西浦一帯73ヶ村を管轄する横須賀代官所が設置されました。しかし、1805年（文化2年）に横須賀代官所は廃止され、横須賀村は鳴海代官所の支配下となりました。ただし、横須賀代官所跡地には陣屋が残されていました。その後、1811年（文化11年）に横須賀代官所が再設置されています。

明治維新後の横須賀

1868年（慶応4年）に横須賀代官所が廃止され、同所に南部総管所が設置されました。1869年（明治2年）には版籍奉還により名古屋藩支配となり、南部総管所が廃止され、同所に名古屋藩出張所が設置されました。

1871年（明治4年）の廃藩置県により名古屋藩が名古屋県となり、名古屋藩出張所が名古屋県出張所となりました。同年、名古屋県から額田県へ分割編入されるとともに大区小区制が実施され、名古屋県出張所が廃止され、同所に額田県支庁及び第一大区（知多郡）会所が設置されました。また、高横須賀及び町方（横須賀）に、それぞれ戸長が置かれました。

1872年（明治5年）に額田県が愛知県へ編入したことに伴い、額田県支庁が廃止され、第一大区（知多郡）会所は第七大区（知多郡）会所となりました。1876年（明治9年）の愛知県の大小区の区割改正に伴い、第七大区会所が廃止され、同所に第七区（知多郡の北半分）会所が設置されました。

同年、地租改正にあたり、藪村（現・東海市養父町）と合併。合併当初は龍岡村と称しましたが、同年中に横須賀村へ改称しました。1878年（明治11年）の郡区町村編制法施行により大区小区制廃止となり、知多郡の管轄となりました。これに伴い、第七区会所は廃止されました。

1882年（明治15年）に横須賀村の高横須賀地区が高横須賀村、旧・藪村が養父村として分村し、横須賀村の旧・町方地区が横須賀村として独立しました。

1889年（明治22年）の町村制施行により（旧）横須賀町が発足し、大字横須賀字四ノ割47に（旧）横須賀町役場を設置しました。また、これに伴い、戸長を廃止し町長を置きました。

1906年（明治39年）に（旧）横須賀町、高横須賀村、養父村、大田村、加木屋村が新設合併して横須賀町が発足し、（旧）横須賀町役場を横須賀町役場として使用しました。

近代の横須賀町

1910年（明治43年）には天宝新田地区が干拓により築立し、1923年（大正12年）に郡制が廃止されました。1936年（昭和11年）には扇島地区の埋め立てが完成しました。

1940年（昭和15年）には旧愛知県会議事堂の払下げを受け移築し、横須賀町役場を大字横須賀字狐塚11番地に移転しました。しかし、1954年（昭和29年）に横須賀町役場が火災で焼失し、仮役場として旧県立横須賀高等学校校舎を使用しました。1956年（昭和31年）には焼失した場所に横須賀町役場を新築し、開庁しました。

1958年（昭和33年）には元浜地区の埋め立てが完成しました。そして、1969年（昭和44年）に上野町と合併して東海市が発足し、同日横須賀町は廃止となりました。

交通と名所

横須賀町には、名古屋鉄道常滑線（太田川駅、尾張横須賀駅）、名古屋鉄道河和線（高横須賀駅、加木屋駅、南加木屋駅、八幡新田駅）、名古屋臨海鉄道（南港駅）が通っていました。また、国道247号が町を縦断していました。

横須賀には数多くの名所・旧跡があります。観福寺、弥勒寺、長源寺、普済寺、玉林斉、安楽寺、天尾神社、大宮神社、諏訪神社、熊野神社、愛宕神社、熱田神社などの寺社、横須賀御殿跡・加家の湊跡、大宮神社の大楠、ニノ掛地蔵、横須賀公園、琴弾松、小玉姫祠などの名勝があります。

過去の天災

江戸時代の横須賀町方では、数多くの天災が発生しました。特に火災が多く、1732年（享保17年）には2度、1734年（享保19年）、1739年（元文4年）にも火災が発生しています。また、1736年（享保21年）と1744年（延享元年）には大風による被害も記録されています。

横須賀町は、その長い歴史の中で様々な変遷を経験し、現在の東海市の一部となっています。その歴史と文化は、今もなお地域に深く根付いています。

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