樫出勇

樫出 勇（かしいで いさむ）

樫出勇は、1915年に新潟県で生まれ、陸軍軍人として著名な戦闘機パイロットとなった。彼の軍歴は、1934年に所沢陸軍飛行学校に入校したことから始まる。その後、1935年に卒業し、明野陸軍飛行学校でさらなる訓練を受け、1936年に飛行第1連隊に配属される。

1939年にはノモンハン航空戦に参戦し、見事な戦果を挙げた。彼はこの戦闘で5機以上を撃墜し、日本陸軍のエースパイロットとして名を残した。ノモンハンエースの中でも特に記憶に残る存在であり、戦友である篠原弘道准尉や井上重俊大尉と共に戦った。この戦闘では、樫出は確かな技術と戦術的な知識を生かして奮闘し、多くの敵機を撃墜した。

その後、1944年から1945年にかけて、彼は本土防空戦においてB-29爆撃機との戦いに参加。彼が所属した飛行第4戦隊は、「屠龍部隊」として知られ、樫出はこの部隊の中で26機のB-29を撃墜したとされています。この戦闘機は二式複座戦闘機で、初めは名前がなかったが、北九州の防空作戦での活躍により「屠龍」という愛称がつけられた。

樫出は、戦友たちとともに高い士気を持ち、被撃墜時には敵機を道連れにする信念を持って戦ったことでも知られています。彼らの戦歴は日本国内で広く知られ、一般市民の間での評判も高まりました。特に樫出との共闘した木村少尉は、樫出に次ぐ実力を誇っており、彼が生きていれば、撃墜数で樫出を超えたであろうと樫出自身が語るほどです。

1944年8月20日には、屠龍戦隊は大規模なB-29の攻撃に対して迎撃戦を行い、80機のうち23機を撃墜しました。これに対する損失は許容範囲であったが、日本側の戦果は誇張されることが多く、アメリカ側の記録とは食い違いがありました。

樫出は、1945年5月に武功徽章乙種を受章し、同年6月に大尉に昇進しました。戦後、彼は2004年まで生を続け、その生涯を通じて多くの戦友や後輩から尊敬を集めました。

樫出勇の戦歴は、陸軍航空部隊の栄光の象徴とされ、その記録は日本の航空史における重要な一部として現在でも語り継がれています。

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