樫野埼灯台

樫野埼灯台について

樫野埼灯台（かしのさきとうだい）は、和歌山県東牟婁郡串本町に位置する紀伊大島の東端に建つ、美しい灯台です。この灯台は、1870年に日本初の石造灯台として点灯して以来、数々の歴史的な出来事に関与してきました。灯台の設計は、エジンバラにあるスティブンソン事務所の仕様に基づき、リチャード・ヘンリー・ブラントンが担当しました。また、工事はアーサー・ブランデルの監督のもとで行われました。

歴史的背景

樫野埼灯台は、1866年に締結された「改税条約」に基づいて建設が決定された8つの灯台のひとつです。この条約により、日本の海上安全を高めるためのインフラが整備されていきました。1869年には着工が始まり、1870年7月8日に初めての光を放ちました。この建物は日本で初めて回転式閃光灯台でもあり、その初期の形状が現在も残っています。

灯台が所在する樫野埼は、1890年の「エルトゥールル号遭難」にも関与しています。この事件において、オスマン帝国のエルトゥールル号が台風により沈没し、生存者数名は崖を登って灯台の安全な場所へ避難しました。この灯台は、歴史的意義だけでなく、非常に美しい風景を提供しており、南紀の大自然を一望することができます。

現在の状況

樫野埼灯台は、吉野熊野国立公園内に位置し、周辺には美しい自然環境が広がっています。内部には立ち入ることはできませんが、外部の階段を使用して灯台に登ることが可能です。また、灯台の周囲には、明治初期に植えられた水仙が咲き誇り、来訪者に癒しを与えています。

さらに、灯台近くには「エルトゥールル号遭難慰霊碑」があり、多くの観光客が訪れる聖地巡礼の場でもあります。観光客は灯台の絶景を楽しむとともに、歴史に触れる貴重な体験をすることができます。

灯台の光学機械系は、2016年に「機械遺産No.83」として認定され、さらに2017年には土木学会選奨土木遺産にも登録されました。そして、2021年には「樫野埼灯台及びエルトゥールル号遭難事件遺跡」として国の史跡に指定され、この歴史的施設の重要性が認識されています。

アクセスと周辺情報

樫野埼灯台にアクセスするには、JR紀勢本線の串本駅からコミュニティバスで約15分の場所にある「樫野灯台口」バス停で下車します。周辺にはトルコ記念館や串本海中公園、潮岬灯台など観光名所が点在しており、一緒に訪れることでより深い理解を得ることができるでしょう。さらに、かつて新潟県柏崎市にあったケマル・アタテュルク像も灯台近くに移設され、友好の象徴として訪れる人々に親しまれています。

樫野埼灯台は、その歴史的意義と美しい景観から、多くの人々の訪問を魅了し続けています。

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