樽床ダム

樽床ダムについて

樽床ダム（たるとこダム）は、広島県山県郡の北広島町にあり、一級河川である太田川水系の柴木川最上流部に建設されたダムです。このダムは、中国電力株式会社によって管理されており、発電を専業とする重力式コンクリートダムです。ダムの堤高は42メートルであり、周辺の立岩ダムや王泊ダムとともに「太田川三ダム」と呼ばれるグループに属しています。この三つのダムの中で最も新しいものであり、1957年に計画が完了しました。

環境と観光

樽床ダムによって造られたダム湖は「聖湖（ひじりこ）」と名付けられています。この湖は県北部の観光地として知られ、特に国の特別名勝である三段峡の上流に位置し、魅力的な自然景観を楽しむことができます。聖湖は西中国山地国定公園にも指定されており、新緑や紅葉による美しい景色が訪れる人々を魅了しています。湖畔には臥龍山がそびえ立ち、その山麓には広大なブナの原生林が広がっています。この自然環境は、訪れる人々に自然とのふれあいの場を提供しています。さらに、広島県営聖湖キャンプ場も設けられており、アウトドア活動を楽しむことができます。

樽床ダムの歴史

太田川における電源開発は1935年から始まりました。初めは王泊ダムが建設され、その後1939年に立岩ダムと鱒溜ダムが続きました。これらは大きなダムを伴う水力発電の開発に役立てられています。戦後には、王泊ダムの発電能力を増強するための工事が行われ、その後柴木川でも電力供給を目的に発電専用ダムの建設が進められました。こうした流れの中で、樽床ダムは1957年に完成し、柴木川第一発電所が併設され、最大出力24,000kWを誇ります。このほかにも、下流には重力式コンクリートダムである柴木川ダム（堤高15.5メートル）と柴木川第二発電所も建設され、合計で電力を供給する体制が整っています。

樽床集落と文化

ダムの建設に伴い、樽床集落は聖湖の湖底に沈んでしまいましたが、その集落の歴史を語るために「芸北民俗博物館」がダムの近くに建てられています。この博物館では、地域の伝統的な農機具や生活用具を約500点展示しており、特に湖底から移築された「中門造り」の家屋は国の重要有形民俗文化財として認定されています。これにより、訪問者は樽床集落の生活様式や文化を知ることができる貴重な機会を持つことになります。

樽床ダムはその発電能力だけでなく、周辺の豊かな自然や文化とともに、観光地としての価値も十分に持っています。是非、訪れてみることをお勧めします。

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